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クリニック院長必見!税制(税金)対策の全てを解説

開業医としてクリニックを運営する中で、「税金の負担が重い」「節税対策を知りたい」と感じることはありませんか?

本記事では、開業医が取り組むべき節税方法を徹底解説し、税金に関する悩みを解決するヒントをご紹介します。

日々の経営をさらに向上させるため、ぜひ最後までご覧ください。

クリニック(開業医)の税制対策とは

クリニック(開業医)の税制対策とは

クリニックを運営する中で、税金の負担が経営を圧迫することは少なくありません。特に累進課税制度が適用される所得税は、収入が増えるほど税率が上がる仕組みです。適切な税制対策を行えば、無駄な支出を抑えつつ、クリニックの将来の成長に備えた資金を確保できます。

累進課税制度

累進課税制度とは、所得が多くなるほど高い税率が課される仕組みです。これは高所得者に重い負担を求める一方で、低所得者には比較的軽い負担を求めるための公平性を意識した制度です。

クリニックの売上が増えるのは喜ばしいことですが、累進課税制度の影響で予想以上の税負担が発生し、資金繰りに支障をきたすこともあります。

例として、以下のような影響が考えられます。

  • 年間の収入が一定額を超えると税率が急激に上がる
  • 事業拡大や設備投資に回せる資金が減る

このような事態を避けるためには、税負担を軽減するための具体的な対策が必要です。

適切な節税対策を行うことで、経営に余裕を持たせることができ、クリニックの未来への投資を実現しやすくなります。累進課税制度を理解し、それに応じた計画的な対応が求められます。

開業医の税金の計算方法

クリニック経営における税負担を軽減するためには、税金の計算方法を正確に把握することが重要です。

ここでは、課税所得と所得税額の計算方法を解説します。

課税所得の計算方法

課税所得 = 事業収入 - 必要経費 - 所得控除

課税所得は、クリニックの収入から経費や控除を差し引いて算出されます。この額を基に所得税や住民税が決定されます。

所得税額の計算方法

所得税額 = 課税所得 × 所得税率 - 税額控除

所得税額は、課税所得に所得税率を掛け、税額控除を差し引いて求められます。累進課税制度により、所得が高いほど税率も上がります。

クリニック経営での税金の種類

クリニック経営での税金の種類

クリニックを経営する上で避けて通れないのが、さまざまな税金の支払いです。それぞれの税金の特性を理解することが、効率的な税制対策の第一歩となります。

ここでは、開業医が関わる主要な税金について説明します。

所得税

所得税は、クリニックの収入から経費や控除を差し引いた「課税所得」に基づいて課されます。日本では累進課税制度が採用されており、所得が増えるほど税率も高くなる仕組みです。適切な経費計上や控除の活用が、所得税を抑えるポイントとなります。

住民税

住民税は、所得税のように累進課税ではなく、一律の税率で課される地方税です。前年の所得を基に算出され、クリニックが所在する自治体に支払います。税率は地域によって若干異なりますが、一般的に10%程度とされています。

事業税

事業税は、クリニックの収入に応じて課される税金で、都道府県に納付します。こちらも所得を基に計算されますが、税率は業種ごとに異なり、医業の場合は概ね5%前後です。事業の種類や規模によって免除や軽減措置が適用されることもあるため、詳細を確認することが大切です。

固定資産税

クリニックが所有する土地や建物に課される税金です。これらの資産は事業用であれば経費として計上できる場合もあります。土地や建物を取得する際には、固定資産税を含めた維持費用を事前に計算しておくことが重要です。

償却資産税

償却資産税は、医療機器や事務用設備など、事業に使用する資産に課される税金です。1月1日時点で所有している資産が対象となり、課税額は資産の評価額に基づいて決まります。

開業医が実践すべき税制対策8選

開業医が実践すべき税制対策8選

クリニック経営において、効果的な税制対策を実践することで、税負担を軽減し、経営の安定化を図ることができます。ここでは、具体的な対策を紹介します。

1.公的制度を活用する

公的制度は、節税だけでなく将来への備えとしても有効です。掛金を経費に計上できるため、税負担の軽減が期待できます。

小規模企業共済

小規模企業共済は、個人事業主や小規模な法人の経営者が廃業や引退に備えて資金を積み立てるための制度です。掛金は月額1,000円から70,000円の範囲で自由に設定でき、全額が所得控除の対象となります。

一括で受け取る場合は退職所得として、分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得として扱われます。これにより、節税効果と将来の資金確保が同時に叶います。

中小企業倒産防止共済

中小企業倒産防止共済は、取引先の倒産による影響を最小限に抑えるための制度です。

掛金は5,000円から200,000円の範囲で設定可能で、経費として計上できます。万が一取引先が倒産した場合、無担保で最大800万円までの貸付を受けることができます。

また、40ヶ月以上加入していれば掛金の100%が返還されるため、資金の準備と節税を同時に行うことが可能です。

スタッフ向け生命保険

スタッフの健康や万が一の事態に備えるため、生命保険に加入することも有効な節税対策です。保険金の受取人をスタッフの家族に設定することで、保険料の半額を経費として計上できます。

また、スタッフの安心感や福利厚生の充実にもつながり、離職率の低下や士気向上といった経営面でのメリットも期待できます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、自分で年金を積み立てる制度で、掛金全額が所得控除の対象になります。個人開業医の場合、月額68,000円まで拠出可能で、年間最大816,000円を控除できるため、大きな節税効果が得られます。

掛金は金融商品に投資され、運用益は非課税です。老後の資産形成にも役立つ一方で、元本割れのリスクがある点には注意が必要です。

ふるさと納税

ふるさと納税は、特定の自治体に寄付を行うことで、翌年の所得税や住民税の控除を受けられる制度です。

寄付額のうち2,000円を超える部分が控除対象となり、地域特産品などの返礼品も受け取れます。厳密には節税ではありませんが、税負担を軽減しながら地域貢献もできるため、多くの経営者に人気があります。

2.所得分散を検討する

所得税は累進課税制度のため、所得が高いほど税率が上がります。家族間で所得を分散することで、税負担を軽減することが可能です。

青色事業専従者給与

家族を従業員として給与を支払う際、事前に「青色事業専従者給与の届出」を提出することで、その給与を経費として計上できます。

適切な給与額を設定し、実際の業務内容に応じた金額であることが重要です。この方法により、税負担が減るだけでなく、家族全体の可処分所得が増えるメリットもあります。

3.償却資産を整理・廃棄する

償却資産とは、医療機器や事務設備などの固定資産のことで、使用していないものがあれば整理することで税負担を軽減できます。

償却資産税は、事業用の資産に課される税金です。1月1日時点で所有している資産が対象となり、使用していない資産も課税対象となります。

除却損の計上とその方法

使用しなくなった資産を廃棄(除却)することで、未償却残高を一括で経費計上できます。廃棄したことを証明する書類や写真を準備する必要があります。また、資産台帳から除却した記録を残すことで課税対象から外すことが可能です。

4.設備投資の減価償却

クリニック経営において、設備投資は必要不可欠なものですが、そのタイミングを計画的に決定することで節税効果を最大化できます。特に利益が高い年に実施することで、課税所得を効果的に抑えることが可能です。

減価償却とは、設備や資産の購入費用を耐用年数に応じて分割し、毎年少しずつ経費に計上する仕組みです。例えば、医療機器や建物などは耐用年数が設定されており、一度に全額を経費に計上するのではなく、数年にわたって費用を分散します。これにより、収支のバランスを保ちながら節税が可能となります。

中小企業経営強化税制

中小企業経営強化税制は、特定の条件を満たす設備投資を行った場合、通常の減価償却よりも早く経費計上できる制度です。これにより、初年度から大幅に課税所得を抑えることが可能です。対象となる設備や適用条件を確認し、積極的に活用することで、税負担の軽減と設備更新を同時に進められます。

5.概算経費の特例

「概算経費の特例」は、クリニックの収入が一定条件を満たす場合に利用できる制度です。この特例を活用することで、実際に発生した経費よりも多くの経費を計上でき、課税所得を減らすことが可能です。

適用条件は以下の通りです。

  • 保険診療収入が5,000万円以下
  • 総収入が7,000万円以下

この条件を満たせば、実際の経費と概算経費を比較し、高い方を選んで計上できます。たとえば、保険診療収入2,500万円以下の場合、収入の72%が経費として認められます。

6.特別支出控除

特別支出控除は、給与所得控除額の1/2を超える特定支出が発生した場合、その超過分を所得から控除できる制度です。

控除を受けるためには、支出に関する明細や領収書などの証明書を用意し、確定申告時に添付する必要があります。また、支出の詳細を正確に記録しておくことが重要です。

控除対象となる支出項目

  • 通勤費
  • 転居費(転任に伴うもの)
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 単身赴任時の帰宅旅費
  • 勤務必要経費(衣服費、図書費、交際費など)

7.クリニックの法人化を検討する

収入が一定額を超える場合、クリニックを法人化することで税負担を軽減できる可能性があります。

個人事業主の所得税率は最大で55%に達しますが、法人税率は概ね23.2%(収益が一定額を超える場合でも最大27.21%)です。この違いにより、収益が高いクリニックほど法人化のメリットが大きくなります。

医療法人化のメリットとデメリット

メリット

  • 税率が低く抑えられる
  • 院長の給与に対して給与所得控除が適用される
  • 退職金の支給が可能

デメリット

  • 経理や事務作業が増える
  • 経営セーフティ共済が利用できなくなる

法人化は収益規模や経営方針によって最適なタイミングが異なるため、専門家と相談しながら判断することが重要です。

8.必要経費を正確に計上する

節税対策の基本として、必要経費を正確に計上することが重要です。クリニック経営では、医療機器や設備の購入費、従業員の給与、福利厚生費、光熱費、広告宣伝費などが経費として認められます。

また、開業準備期間中にかかった費用やスタッフの研修費なども忘れずに計上する必要があります。

必要経費を適切に記録することで、課税対象となる所得を正確に算出し、余計な税負担を防ぐことが可能です。領収書や契約書を確実に保管し、税務調査に備えることも重要なポイントです。

必要経費として認められる費用

必要経費として認められる費用

クリニック経営において、税務上の必要経費として認められる費用は多岐にわたります。それぞれの費用を正確に把握し、適切に計上することが節税対策の第一歩です。

設備費

設備費はクリニックで使用する医療機器や事務機器、内装工事費などが含まれます。これらの費用は資産として計上し、減価償却を通じて少しずつ経費化されるのが一般的です。新たな設備投資を行う際には、税制優遇制度の活用も検討しましょう。

人件費

人件費には、スタッフの給与や賞与、社会保険料などが含まれます。クリニックの経費の中でも割合が大きくなりやすいため、適切な計上が重要です。家族を従業員として雇用し、専従者給与として支払うことも節税に役立ちます。

福利厚生費

福利厚生費は、スタッフの健康診断費用や社内イベントの費用などが該当します。これらはスタッフの満足度を向上させるだけでなく、経費として認められるため節税効果があります。

会議費

会議費には、会議や打ち合わせにかかる費用が含まれます。カフェや会議室での飲食代やレンタルルーム代も対象となります。ただし、アルコールが含まれる場合は認められないことがあるため注意が必要です。

交際費

交際費は、取引先や他のクリニックとの関係を円滑にするための費用です。贈答品や接待の飲食代が該当しますが、領収書には詳細を記録しておくことが重要です。

出張費

学会やセミナーへの参加に伴う交通費や宿泊費が該当します。これらも必要経費として計上可能ですが、家族を同伴した場合の費用は経費として認められないため注意しましょう。

開業前にかかった費用

クリニック開業前の準備費用は「開業費」として経費に計上できます。賃貸料や交通費、医療機器の購入費、広告宣伝費などが対象です。これらは開業した年に一括計上するか、数年に分けて償却することも可能です。領収書や契約書の保管を忘れず、適切に処理することで税負担を軽減できます。

税制対策におけるポイント

税制対策におけるポイント

税制対策は、クリニックの経営を支える重要な取り組みですが、方法を誤ると経営リスクを増大させる可能性があります。ここでは、特に注意すべきポイントを解説します。

無駄な経費を防ぐ

節税のために経費を増やすことは有効な手段ですが、不必要な支出が増えると、資金繰りが悪化し、経営を圧迫する可能性があります。

たとえば、使用頻度の低い設備や不要な贈答品への過剰な支出は控えるべきです。現状の収支や今後の経営計画を見据え、必要最低限の経費に留めることが大切です。

法律に則った節税を行う

節税は合法的な方法で税負担を軽減することを指しますが、法律の範囲を超える行為は脱税と見なされ、重いペナルティが科されることがあります。

特に以下に注意してください。

  • プライベートな支出(家族旅行費や娯楽費)を経費に計上しない
  • 支出の証拠となる領収書や契約書を必ず保管する

合法的かつ効果的な節税を行うために、信頼できる税理士に相談し、常に最新の税制を把握しておくことが重要です。

税理士の選び方

医療業界に精通した税理士を選ぶことは、節税対策を成功させる鍵となります。医療分野の税務知識を持ち、過去にクリニックの経営者を支援した実績が豊富な税理士を探すことが大切です。

また、節税だけでなく、長期的な経営戦略や将来の資金計画についても相談できる税理士を選ぶと安心です。信頼関係が築ける人柄や、こちらの要望に柔軟に応じられる対応力も選定時のポイントとなります。

まとめ

まとめ

クリニックの運営において、税制対策は経営を安定させ、将来の成長を支えるために欠かせない取り組みです。本記事では、節税の基本から具体的な対策、注意点まで詳しく解説しました。必要経費の適切な計上や公的制度の活用、設備投資のタイミングなど、実践できる方法は多岐にわたります。

これらの対策を取り入れることで、税負担を軽減し、クリニックの運営に余裕をもたせることが可能です。読者の皆さまが経営に集中し、患者さまにより良い医療を提供できるよう、本記事の内容が少しでもお役に立てれば幸いです。ぜひ、信頼できる税理士とも連携しながら、賢い税制対策を進めていってください。

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