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【2026年最新】クリニックの人件費率の目安は?計算方法と見直しのポイントを解説

「相場が年々上がり、従来の給与では応募が来ない」「競合の給与条件が高く、離職を防ぐために人件費を上げ続けている」──こうした採用や人件費の悩みから、「自院の人件費率は高すぎるのではないか」「何%くらいが適正なのだろう」と気になる院長も多いのではないでしょうか。
ところが人件費率について調べると、実務上の目安として25%前後という数字がある一方で、厚生労働省の統計では医療法人の一般診療所は医業収益の約半分を給与費が占めています。
同じ人件費率なのに約2倍も数字が異なるのは、比較している人件費の範囲が異なるからです。
人件費率を判断するときは、「何%か」だけでなく、誰の人件費を含めた数字なのかを確認することが重要です。
この記事では、人件費率25〜30%という実務上の目安をはじめ、厚生労働省の統計で約50%になる理由、自院の人件費率が適正か判断するポイントをわかりやすく解説します。
クリニックの人件費率は25〜30%が一つの目安
外来クリニックの人件費を管理するときは、看護師や医療事務などのスタッフ人件費率25〜30%を一つの目安として考えるとよいでしょう。
ただし、この数字は厚生労働省などが定めた基準ではありません。クリニックの人件費率には公的な「適正値」が存在しないため、25〜30%はあくまで実務上の管理指標として使われている水準です。
弊社が事務長代行として支援しているクリニックでも、スタッフ人件費率30%以下を管理目安とし、25%前後であれば良好な水準として捉えています。
自院の数字がどの水準にあるときに何を確認すべきかを整理すると、次のとおりです。
【スタッフ人件費率の水準と考え方】
| スタッフ人件費率 | 考え方 |
| 25〜30% | 一つの管理目安 |
| 30%超 | まず人件費率が上がった原因を確認する |
| 35%超 | 人件費だけでなく、収益や業務分担も含めて見直す |
30%を超えたからといって、すぐに人件費が高すぎるとは判断できません。
人件費率は、人件費だけでなく医業収益によっても変動するため、まずは上昇した原因を確認することが大切です。
なお、この25〜30%は、クリニックで働くすべての人の人件費ではなく、看護師や医療事務など、スタッフにかかる人件費をもとにした目安です。
勤務医の給与や院長・理事長の報酬まで含めると、人件費率は大きく変わります。
「25%」と「約50%」はどちらが正しい?定義の違いを整理
結論からいうと、25%と約50%はどちらも正しい数字であり、違いは「誰の人件費を含めて計算しているか」にあります。
厚生労働省の「第24回医療経済実態調査」では、入院診療収益がない一般診療所の給与費構成比率について、次のような結果が示されています。
【個人立と医療法人の給与費構成比率(令和4年度実績)】
| 開設主体 | 給与費の構成比率 |
| 個人立 | 24.6% |
| 医療法人 | 49.0% |
一見すると、医療法人の人件費率は個人立の約2倍です。
しかし、この差が生まれる主な理由は、経営状態ではなく、給与費に含まれる範囲そのものが開設主体によって異なる点にあります。
つまり、24.6%と49.0%は、同じ物差しで測った数字ではありません。
そのため、この2つを並べて人件費が高い・低いと判断することはできず、比較するには範囲をそろえる必要があります。
個人立の診療所では院長の報酬が給与費に含まれない
厚生労働省は、個人立の一般診療所について、開設者(院長)の報酬に相当する部分は費用に計上しないと注記しています。個人立では、院長の収入は費用ではなく、収益から費用を差し引いた損益差額として残るためです。
一方、医療法人では、院長や理事長の役員報酬が費用として計上されます。つまり、個人立の24.6%はスタッフと勤務医の給与だけを集計した数字であり、医療法人の49.0%はそこに院長・理事長の報酬が上乗せされた数字です。
両者の差の大部分は、この院長・理事長の報酬にあたります。
個人立の数字が低いのは人件費を抑えているからではなく、院長報酬が最初から集計対象外になっているためです。
厚生労働省の統計は「適正値」を示したものではない
公的統計の数字は、目指すべき水準ではなく、全国の診療所で実際にそうなっていたという結果です。
医療経済実態調査は、診療報酬改定の基礎資料をつくるために、全国の医療機関の経営実態を集計したものです。
つまり給与費率は、経営として望ましい水準を検討した結果ではなく、各院の判断の積み重ねを平均した数字にすぎません。
この違いを踏まえると、次のような使い方は成り立たないことが分かります。
- 医療法人は約50%だから、自院も50%まで人件費をかけてよい
- スタッフ人件費率が25%を超えたから、経営に問題がある
前者は全国平均を目標値と取り違えており、後者は範囲の異なる数字を比べています。
自院の人件費率を判断するときの出発点は、統計の平均値との比較ではありません。
まず自院の数字がどの範囲で計算されているかをそろえ、そのうえで前月や前年からどう変化したかを追うことが、実務的な判断につながります。
2026年時点の最新データでは給与費率が50.9%に上昇
近年は、給与費の増加と医業収益の減少が重なり、人件費率が上がりやすい経営環境となっています。
2026年7月時点で公表されている最新の「第25回医療経済実態調査(令和6年度実績)」では、医療法人が運営する一般診療所の給与費率は48.3%から50.9%へ上昇しました。
2025~2026年の1年間で何が起きたのかを、給与費率と損益率をあわせて確認します。
【医療法人立・一般診療所の主な経営指標の変化】
| 項目 | 令和5年度 | 令和6年度 |
| 給与費の構成比率 | 48.3% | 50.9% |
| 損益率(平均値) | 8.3% | 4.8% |
| 損益率(中央値) | 5.6% | 2.7% |
出典:厚生労働省「第25回医療経済実態調査の概要」(2025年11月26日公表)
給与費率が2.6ポイント上がる一方で、損益率は平均値・中央値ともにほぼ半減しています。
これを年商1億円・人件費2,500万円のクリニックに置き換えると、人件費は約80万円増、医業収益は約210万円減となり、人件費率は25.0%から26.4%へ上がります。
このうち約半分は、医業収益が減ったことによる上昇であり、スタッフを増やしたり昇給させたりしなくても、患者数や単価が落ちれば人件費率は上がることを示しています。
そのため、自院の人件費率が上がったときは、次のどちらが起きているかを切り分けて考えましょう。
- 給与総額やスタッフ数が増えているか
- 患者数や診療単価の低下などにより、医業収益が減っているか
前者なら人員配置や給与体系の見直し、後者なら患者数や診療単価の回復が必要です。
ここを取り違えると、収益が落ちているだけなのに人を減らし、現場が回らなくなる可能性があります。
クリニックの人件費率の計算方法
人件費率は、次の式で計算します。
人件費率=人件費÷医業収益×100
【計算例】年間の医業収益が1億円、スタッフの給与・賞与・法定福利費などの合計が2,500万円の場合
2,500万円 ÷ 1億円 × 100=25%
となり、スタッフ人件費率は25%です。
例えば、人件費が年間400万円かかるスタッフを1人増員すると、人件費は2,500万円から2,900万円になります。
医業収益が1億円のままであれば、人件費率は25%から29%へ上昇します。
一方、この増員によって1日あたりの患者数が増え、医業収益が1億1,600万円まで伸びれば、人件費率は25%のまま変わりません。
つまり人件費率は、採用そのものではなく、採用に見合う収益を確保できたかどうかで動く指標です。
増員を検討する際は、「人件費がいくら増えるか」だけでなく、「その増員によって医業収益をどれだけ伸ばせるか」まで含めて考える必要があります。
人件費に含める主な項目
クリニックの人件費を計算する際は、一般的に次の費用を含めます。
- 給与
- 賞与
- 時間外手当や資格手当などの各種手当
- 社会保険料の事業主負担分などの法定福利費
- 退職金や退職給付に関する費用
厚生労働省の医療経済実態調査でも、給与費には給与、賞与、退職金、法定福利費などが含まれています。
ただし、クリニックによって使用する勘定科目や、人件費として集計する範囲は異なります。
そのため、他院の数字と単純に比較するよりも、まずは自院で毎月同じ範囲を使って計算し、前月や前年からどのように変化しているかを確認することが重要です。
自院の人件費率は3つに分けて計算する
自院の人件費率を正しく判断するには、スタッフ人件費率、勤務医を含む人件費率、総人件費率の3つに分けて計算することが重要です。
スタッフだけを対象にした人件費率と、院長や理事長の報酬まで含めた人件費率では、同じクリニックでも大きく数字が変わります。
人件費率の3つの指標と用途については、以下の表を参考にしてください。
| 分類 | 分子に含めるもの | 主な用途 |
| ①スタッフ人件費率 | 看護師・医療事務・技師などの給与、賞与、手当、法定福利費 | 人件費管理・他院比較 |
| ②勤務医を含む人件費率 | ①+勤務医の給与、賞与、法定福利費 | 診療体制の採算確認 |
| ③総人件費率 | ②+院長・理事長などの報酬 | 経営全体の収益性確認 |
①スタッフ人件費率
看護師や医療事務、診療放射線技師など、スタッフだけの人件費を対象にした指標です。
外来クリニックの人件費管理や他院との比較では、まずこの数字を確認します。
本記事で紹介している25〜30%という目安も、このスタッフ人件費率を基準としています。
②勤務医を含む人件費率
①に、勤務医の給与や賞与、法定福利費を加えた指標です。
勤務医を雇用しているクリニックでは、診療体制全体として人件費のバランスが取れているかを確認できます。
スタッフ人件費率との差が大きい場合は、勤務医の人件費に見合う医業収益を確保できているかも確認しましょう。
③院長・理事長を含む総人件費率
②に、院長や理事長などの報酬も加えた指標です。
医療法人では役員報酬も費用として計上されるため、スタッフ人件費率より高くなるのは自然です。
経営全体の収益性を確認するときは、この総人件費率を参考にします。

人件費率が高いときに確認したい4つのポイント
スタッフ人件費率が30%を超えている場合でも、すぐに「人件費が高すぎる」「スタッフを減らすべき」と判断するのはおすすめできません。
人件費率は「人件費÷医業収益」で決まるため、分子である人件費がまったく増えていなくても、分母の医業収益が落ちれば数字は上がります。
つまり、同じ「30%超」でも、人件費側に原因がある場合と、収益側に原因がある場合とでは、取るべき対応がまったく異なります。
人件費率が高いときは、次の4つを順番に確認しましょう。
- 医業収益は維持できているか
- スタッフ数は診療規模に合っているか
- 給与水準は適切か
- 有資格者が本来の業務に集中できているか
まず①で分母を確認し、②③で分子を確認する。
そのうえで、人数や給与に手をつける前の選択肢として④を検討する、という順番です。

ポイント1:医業収益は維持できているか
人件費率が上がったときは、人件費だけでなく、医業収益が維持できているかを最初に確認しましょう。
人件費率は「人件費÷医業収益」で計算するため、人件費が変わらなくても、患者数の減少などで医業収益が落ちれば、人件費率は上昇します。
例えば、医業収益1億円・スタッフ人件費2,500万円のクリニックでは、人件費率は25%です。しかし、人件費が変わらないまま医業収益が8,000万円まで減少すると、人件費率は約31%になります。
この場合の原因は人件費ではなく、医業収益の減少です。
そのため、人件費率が上がったからといって、すぐに人員や給与を見直すのではなく、まずは患者数や診療単価、診療日数、予約枠の稼働状況など、収益側の指標を確認しましょう。
ポイント2:スタッフ数は診療規模に合っているか
スタッフ数が適正かどうかは、人数の多い少ないではなく、スタッフ1人あたりの医業収益で判断します。
診療科や診療内容によって必要な人員数は構造的に変わるため、人数という絶対値では判断できないからです。
例えば整形外科や眼科のように処置や検査が多い診療科では、同じ患者数でも必要なスタッフ数が増え、人件費率は高くなりやすい傾向があります。
人数を確認するときは、次のような項目とあわせて全体像を把握しましょう。
- 1日あたりの患者数
- 診療時間や予約枠
- 診療科の特性
- 処置・検査件数
- 有資格者の配置
- 医療事務の業務量
そのうえで、スタッフ1人あたりの医業収益を前年と比べてみてください。
この数字が下がっていれば増えた人数に見合う収益を確保できていないことになりますが、維持できているのであれば、人件費率が上がっていても増員そのものが誤りだったとは限りません。
ポイント3:給与水準は適切か
給与水準が高く見える場合でも、給与そのものを下げる前に、役割分担と評価基準を確認してください。
給与の問題に見えるものの多くが、実際には業務の偏りや評価基準の不在に起因しているからです。
一部の職員に業務と残業が集中していれば、基本給が相場どおりでも時間外手当で人件費は膨らみ、その職員が離職すれば採用コストや紹介手数料まで発生します。
給与水準を確認するときは、次の点をチェックしましょう。
- 地域や競合クリニックの給与相場と比べて大きな差がないか
- 給与に見合った役割や評価基準が設定されているか
- 一部の職員に業務や残業が集中していないか
- 昇給基準が院内で共有されているか
このうち下の2つは、給与額ではなく業務と評価の設計に関する項目です。
役割分担の見直しや評価制度の整備で改善できないかを先に検討することが、離職を防ぎながら人件費をコントロールする現実的な方法になります。
ポイント4:有資格者が本来の業務に集中できているか
人員を減らす前に、看護師や診療放射線技師などの有資格者が事務作業に時間を取られていないかを確認してください。
単価の高い人材が単価の低い業務を担っている状態では、同じ人数でも生み出せる医業収益が下がり、人件費率を押し上げるためです。
- 電話対応
- 書類作成
- 予約管理
- シフト調整
- 備品発注
- 院内掲示物の作成
- スタッフ間の連絡調整
これらはいずれも必要な業務ですが、資格がなければ担当できない業務ではありません。
この状態で人員を削減すると、有資格者の事務作業がさらに増え、診療体制そのものが縮小してしまいます。
まずは資格が必要な業務とそうでない業務を切り分けることで、同じ人数のままでも診療体制を維持、あるいは改善できる可能性があります。
人件費率に表れない「隠れ人件費」にも注意
人件費率が低いからといって、人にかかるコストまで低いとは限りません。
クリニックでは、人に関する費用の一部が給与費ではなく、委託費や採用費など別の勘定科目で計上されることがあります。
第25回医療経済実態調査でも、人材委託費や紹介手数料は給与費とは別の項目として集計されています。
人件費率には反映されにくい主な費用は、次のとおりです。
| 隠れ人件費 | 主に計上される場所 |
| 人材紹介会社への紹介手数料 | 紹介手数料・委託費など |
| 派遣スタッフの費用 | 人材委託費・委託費など |
| レセプト業務などの外注費 | 委託費 |
| 採用広告費 | 広告宣伝費・採用費など |
| 院長自身が行う管理業務 | 原則として費用には表れない |
人件費率だけを見ると「人件費は低い」と判断してしまう可能性がありますが、実際には、派遣費や外注費、採用費が増えていれば、クリニック全体として人にかかるコストは高くなっているかもしれません。
特に見落としやすいのが、院長自身の時間です。
スタッフを増やさず、院長が診療後にシフト作成や採用活動、スタッフ面談、レセプト確認、経理・労務管理などを担っている場合、試算表上の人件費率は低く見えます。
しかし、それは業務が効率化された結果ではなく、院長が本来診療や経営判断に使うべき時間を、人手不足の穴埋めに充てている状態かもしれません。
人件費率を確認するときは、給与費だけでなく、委託費や採用費の推移、さらに院長が診療以外の業務にどれだけ時間を使っているかも含めて判断することが重要です。
院長がシフト作成や採用対応に使っている時間は、試算表のどこにも表れません。
その業務を外部の事務長が引き受けることで、人件費率を変えずに院長の時間を取り戻せます。
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2026年は人件費が上がりやすい環境が続く
2026年は、多くのクリニックで人件費が上昇しやすい状況が続いています。
背景にあるのは、最低賃金の引き上げ、診療報酬改定への対応、そして採用市場における給与相場の上昇という3つの動きです。
最低賃金は全国加重平均1,176円となる見込み
2026年7月28日、中央最低賃金審議会は、令和8年度の地域別最低賃金額について、全国加重平均で55円(4.9%)引き上げ、1,176円とする目安を示しました。
正式な金額は、今後各都道府県の地方最低賃金審議会を経て決定されます。
ここで注意したいのは、対象となる職員の時給だけを引き上げると、経験年数や役割による給与差が縮まり、既存職員の不公平感につながる点です。
時給の引き上げは時間外手当の単価にも波及するため、年間の給与総額は想定以上に増えることもあります。
最低賃金への対応は、個別の時給調整ではなく、給与体系全体の見直しとして捉えましょう。
ベースアップ評価料の届出と賃金改善計画を確認する
令和8年度診療報酬改定では、ベースアップ評価料の仕組みと届出様式が見直され、以前から算定していた医療機関も含めて、改めて届出が必要になりました。
令和8年6月から算定するには5月中の届出が必要でしたが、間に合わなかった場合も、その後に届出を行えば以降の算定につなげられます。
また、この評価料は一時金や賞与のための制度ではなく、継続的な賃金改善を前提としています。
自院が算定対象か、改定後の様式で届出を済ませているか、賃金改善計画と実際の給与支給が一致しているかを確認しましょう。
具体的な算定方法や労務上の対応は、地方厚生局や社会保険労務士などへご確認ください。
給与条件を上げる前に確認したいこと
給与条件を引き上げても応募が集まらない、という状況は診療科を問わず起きています。
この状態で採用条件をさらに上げると、採用後の給与だけでなく、年収に連動する人材紹介手数料なども増えるため、人件費率と隠れ人件費の両方を押し上げることになります。
そのため、採用条件を上げる前には、次の点を確認してください。
- 本当に増員が必要なのか
- 既存業務の重複を整理できないか
- 常勤でなければ対応できない業務か
- 求人票で役割や魅力を伝えられているか
- 入職後の定着を妨げる要因がないか
採用できない原因が、給与条件だけとは限りません。

人件費率を改善するなら給与削減より先に構造を見直す
人件費率を改善するには、人件費だけでなく、医業収益や業務の進め方も含めて見直すことが重要です。
まずは、次の5つのポイントから確認しましょう。
| 順番 | 確認すること | 具体例 |
| 1 | 医業収益側に改善余地がないか | 予約枠、再診率、キャンセル対策、自費メニュー |
| 2 | 業務の重複や無駄がないか | 二重入力、紙とシステムの併用、不要な確認作業 |
| 3 | 職種ごとの業務分担が適切か | 有資格者が事務作業を抱えていないか |
| 4 | 人にかかる総コストはいくらか | 給与費、派遣費、委託費、紹介手数料、採用費 |
| 5 | 院長が管理業務を抱えていないか | 採用、面談、シフト、経理、レセプト管理 |
人件費率は「削るべき給与」を探すための指標ではありません。
人員配置と収益構造のバランスが取れているかを確認するための経営指標として使うことが重要です。
人件費率を下げるために避けたい対応
人件費率を改善するために、給与削減や人員削減を急ぐのはおすすめできません。
人員を減らした結果、残ったスタッフの業務量や残業が増え、離職や採用コストの増加、院長の負担増につながる可能性があるためです。
特に、次の3つの対応は慎重に検討しましょう。
| 避けたい対応 | 注意点 |
| 一方的な減給や手当の廃止 | 賃金の引き下げは労働条件の不利益変更にあたる可能性があり、就業規則の変更や本人の同意が必要になる場合がある |
| 明確な基準のない給与調整 | 採用時期や個別交渉だけで給与を決めると待遇差が生じやすく、不公平感や離職につながる恐れがある |
| 業務量を確認しないままの人員削減 | 残業時間の増加や患者対応の質の低下、院長の負担増につながる可能性がある |
人件費率は、給与だけでなく医業収益とのバランスで決まる指標です。
改善を検討する際は、給与や人員を減らす前に、業務の効率化や収益構造の見直しを優先しましょう。
減給や労働条件の変更を検討する場合は、実施前に社会保険労務士などの専門家へ相談することをおすすめします。
自院の人件費率が高いか判断するチェックリスト
人件費率は、数字だけを見ても原因までは分かりません。まずは、次の項目に当てはまるものがないか確認してみましょう。
□ スタッフ人件費率が前年より上昇している
□ 医業収益が増えていないのに給与総額が増えている
□ 人員を増やしたが、患者数や医業収益が増えていない
□ 採用のために給与条件を引き上げた
□ 残業時間が増えている
□ 特定のスタッフに業務が集中している
□ 有資格者が事務作業を多く担当している
□ 人材紹介・派遣・外注費が増えている
□ 院長が採用やスタッフ管理に多くの時間を使っている
□ 人件費率を毎月同じ定義で計算していない
チェックが複数当てはまる場合は、原因を切り分ける
複数の項目に当てはまる場合は、人件費率が高いという結果だけでなく、「なぜ高くなっているのか」を整理することが重要です。
ただし、当てはまる項目の数だけで経営状態を判断することはできません。
人件費、医業収益、人員配置、業務分担のどこに変化が生じているかを確認しましょう。
特に、次のような状態では、人件費率だけを見ても適切な対策は判断できません。
- 人件費率は高いのに、人材を採用できていない
- 増員したいが、医業収益が追いついていない
- 人員を減らすと、院長の業務負担がさらに増えてしまう
- 税理士には数字を相談できても、人員配置や業務改善までは相談しにくい
このような場合は、給与を下げるかどうかではなく「収益・人員配置・業務分担」のどこに課題があるのかを整理することが、改善への第一歩になります。
チェックが3つ以上ついた場合はレンタル事務長さんの無料相談を活用しましょう
チェックが3つ以上ついた場合、収益・人員配置・業務分担のどこに変化が起きているのか、切り分けが必要な状態かもしれません。
ただし、どこが問題かは月次試算表と給与台帳を並べ、診療科やスタッフ構成まで見ないと判断できません。
税理士には数字を相談できても、人員配置や業務改善までは相談しにくい領域です。
「レンタル事務長さん」は、クリニック特化の事務長代行として、この切り分けから実行までを引き受けています。
無料相談でお伝えできること
- 人件費率が上がった原因は、収益側か人件費側か
- 派遣費・紹介手数料・院長の管理時間を含めた、人にかかる総コスト
- 人員を減らさずに人件費率を下げるなら、どこから着手すべきか
「うちの人件費率は高いのか、まずそこから知りたい」という段階でも構いません。
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クリニックの人件費率に関するよくある質問
クリニックの人件費について、多くの方が感じる疑問にお答えします。
診療科によって人件費率の目安は変わりますか?
人件費率の目安は、診療科や診療内容によって変わります。
必要な職種や人員数が構造的に異なるためです。例えば、リハビリを行う整形外科では理学療法士、透析クリニックでは臨床工学技士などを配置するケースが多く、人件費率が高くなりやすい傾向があります。
他院と比較するときは、同じ診療科であることに加え、診療内容や施設規模が近いかも確認してください。
1日あたりの患者数から、適正な人件費の水準は分かりますか?
患者数だけでは、人件費が適正かどうかを判断できません。
人件費率の分母は患者数ではなく医業収益であり、同じ1日100人でも、処置や検査の内容によって患者1人あたりの収益が異なるためです。
患者1人あたりの平均収益と1日の患者数、年間診療日数から医業収益を概算し、必要な人員数や人件費と照らし合わせて判断しましょう。
スタッフ数を減らせば、経営は楽になりますか?
スタッフ数を減らしても、必ずしも利益が増えるとは限りません。
人件費は下がりますが、受け入れられる患者数や実施できる処置・検査も減り、医業収益が縮小する可能性があるためです。人件費率が改善しても、利益額が増えない場合があります。
さらに、残ったスタッフへ業務が集中すると、時間外手当の増加や離職、採用コストの発生につながるケースがあるため、人員削減は、業務量と収益への影響を確認してから検討しましょう。
人件費率が低すぎる場合は問題ないのですか?
人件費率は、低いほど良いとは限りません。
目安を大きく下回る場合、人員を十分に確保できていない、院長が管理業務を抱えている、給与水準が地域相場を下回っているといった問題が隠れていることがあります。
数字だけで判断せず、スタッフの残業時間や離職状況、採用費・委託費の推移、院長が診療以外の業務に使っている時間も確認しましょう。
まとめ|人件費率は「何%か」より「誰を含めた数字か」が重要
クリニックの人件費率には、すべての医療機関に共通する公的な適正値はありません。
外来クリニックでは、スタッフ人件費率25〜30%を一つの実務上の目安として管理する考え方がありますが、院長・理事長の報酬を含めるかどうかによって、人件費率は大きく変わります。
そのため、「何%か」だけで判断するのではなく、「誰の人件費を含めて計算した数字なのか」を明確にしたうえで比較することが重要です。
また、人件費率が上がった場合も、すぐに給与や人員を見直すのではなく、人件費・医業収益・業務分担のどこに原因があるのかを切り分けて考えることが、適切な経営判断につながります。
人件費率を計算しても、「自院にとって高いのか判断できない」「改善策の優先順位が分からない」という場合は、数字だけでなく、診療科やスタッフ構成、院内業務まで含めて整理することが大切です。
弊社では、人件費率の分析だけでなく、人員配置や業務改善まで含めた実行支援を行っています。
自院の課題を整理したい場合は、お気軽に無料相談会をご活用ください。
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参考資料
- 厚生労働省「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」
- 厚生労働省「第25回医療経済実態調査の概要」
- 厚生労働省「第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」
- 厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について」
※本記事は2026年7月30日時点の情報をもとに作成しています。最低賃金の引き上げ額は中央最低賃金審議会が示した目安であり、都道府県ごとの正式な金額や発効日は今後決定されます。会計・税務・労務上の取り扱いは個々のクリニックによって異なるため、必要に応じて税理士や社会保険労務士等の専門家へご確認ください。