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クリニック採用の3つの課題|応募が来ない・面接辞退・早期離職の対処法

「求人を出しているのに、月に数件しか応募が来ない」「せっかく応募があっても、面接まで来てくれない」
こうした採用の悩みは、当社レンタル事務長さんに寄せられる相談のなかで最も多いものです。応募が来ない、来ても面接前に離脱する、採用できてもすぐ辞める。この負のループが続くと、診療に集中したい院長の心理的な負担は大きくなる一方です。
この記事では、クリニックの採用課題を「応募が来ない」「面接前に離脱する」「入職後に離職する」の3つに分け、それぞれの原因と、診療で忙しい院長でも実行できる対処法を整理します。
求人原稿の見せ方や競合との比較、応募者への返信スピードを保つ仕組み、ミスマッチを減らす面接の工夫、入社後の定期面談まで、当社の支援で実際に行っている考え方を順に解説します。
採用の目的は「人を採ること」ではなく、「現場を回せる人が長く働いてくれること」です。定着まで見据えて、採用活動の設計を見直すきっかけにしてください。
本記事は、当社YouTubeチャンネルで公開している動画「【プロが解説】応募が少なくて悩む先生に向けてクリニックの採用の方法を全て紹介します!」の内容をもとに、当社の人事・採用担当が日々の支援で見ている3つの採用課題と対処法を、記事として読みやすく再構成したものです。動画とあわせてご覧ください。
クリニックで一番多い相談は「採用」|課題は3つに分けられる
当社に寄せられる相談のうち、最も多いのが採用と労務まわりです。なかでも「応募が来ない」「応募が来ても面接まで進まない」「採用できてもすぐ辞めてしまう」という3つの声が突出しています。
これらは一見バラバラの悩みに見えますが、採用の流れを「応募獲得まで」「応募獲得後」「入職後」の3段階に分けると、どこでつまずいているかが整理できます。まずは全体像を確認しましょう。

| 段階 | 課題 | 主な原因 | 対処の方向性 |
|---|---|---|---|
| ①応募獲得まで | 求人を出しても応募が来ない | 求人原稿に特徴・メリットがない、給与の見せ方 | 原稿の見直し、給与の幅表示、競合比較 |
| ②応募獲得後 | 面接まで進まず離脱する | 応募者への返信が遅い | テンプレートで即返信、日程調整の効率化、1日1回の返信 |
| ③入職後 | すぐ辞めてしまう | ミスマッチ、入社後フォロー不足 | スクリーニング、面接同席、定期面談 |
①応募獲得までの課題:求人を出しても反応がない
求人媒体に掲載しているのに、月に数件しか応募が来ないという相談です。原因の多くは媒体の選び方ではなく、求人原稿の中身にあります。クリニックの特徴や、そこで働くメリットが求職者に伝わっていないケースが目立ちます。
②応募獲得後の課題:面接の前に離脱される
応募はあるのに、返信が途絶えたり、面接の日程が決まらないまま流れてしまうケースです。最大の原因は、応募者への対応スピードです。診療で手一杯の院長ほど、ここで応募者を逃しています。
③入職後の課題:採用できてもすぐ辞める
せっかく採用した人材が数か月で辞めてしまう、あるいは「いい人だ」と思って採用した人ほど早く離職してしまうという相談です。入社後のフォローに目が向きがちですが、実はそれより前の「見極め」の段階に原因があることが少なくありません。
- 採用の課題は「応募獲得まで」「応募獲得後」「入職後」の3段階で切り分ける
- 3つの課題は連鎖しやすく、応募が少ないと妥協した採用になり、早期離職につながる
- この負のループを断つには、入口の求人原稿と、出口の定着策を同時に整える必要があります
課題①「求人を出しているのに応募が来ない」原因と見直しポイント
応募が来ないクリニックには、共通点があります。当社が求人原稿を拝見すると、業務内容と勤務条件が淡々と並んでいるだけで、「このクリニックで働く理由」が書かれていないことがほとんどです。
①求人原稿にクリニックの特徴・働くメリットが書かれていない
求職者は同じ職種・同じエリアの求人を横並びで見ています。そのなかで、自院ならではの強みや、働くうえでのメリットがアピールできていなければ、目に留まりません。
- 診療科の特徴や患者層、1日の外来数など、働くイメージが湧く情報
- 教育体制やマニュアルの有無、先輩スタッフが教える体制
- 残業の少なさ、シフトの柔軟さ、休みの取りやすさ
- 院長の診療方針や、スタッフに任せている役割
これらは、院内では当たり前すぎて書き忘れがちな項目です。求職者が最初に目にするのはタイトルと給与(時給)なので、キャッチコピーで特徴を伝え、本文でメリットを裏付ける構成にします。
②給与は下限だけでなく上限も示し、「幅」で見せる
見せ方のテクニックとして効果が大きいのが、給与の表示です。「月給23万円〜」のように下限だけを示すのではなく、「23万〜27万円」のように上限も添えて幅で見せると、経験やスキルに応じて評価される印象が伝わります。
当社の経験上、コメディカルは給与面を重視して求人を見る傾向があります。下限だけの表示は、それだけで比較の土俵から外れてしまうことがあります。
ただし、幅で表示する際には、職業安定法にもとづく求人の明示ルールを守る必要があります。厚生労働省・ハローワークの公式資料でも、基本給を「185,000円〜255,000円」のように幅で示す記載例が示されており、幅表示そのものは制度上想定された書き方です。
| 幅表示のルール | 内容 |
|---|---|
| 固定残業代を含む場合 | 固定残業代を除いた基本給の額、手当名・時間数・金額、超過分は追加で支払う旨の3点を明示する |
| 幅の中から確定した場合 | 「当初:25万〜30万円 ⇒ 28万円」のように、範囲内で特定した場合も変更明示の対象になる |
| 下限を下回る提示 | 記載した下限額を下回る額を提示することは不可 |
| 幅の広さ | 極端に広い幅は避け、可能な限り限定するよう配慮する |
| 表示の正確さ | 虚偽・誤解を生じさせる表示は禁止。募集終了や条件変更は速やかに反映する |
「上限を見せたい」からといって、実際には払えない金額を書くことは虚偽表示にあたります。実際の給与テーブルの範囲内で、正直に幅を示すことが前提です。
③周辺の競合クリニックと比較して、自院の求人を点検する
院長が一人で求人を運用していると、「自院の求人が正しいのか」を判断する材料がありません。基準になるのは、周辺の競合クリニックの求人です。同じ職種・同じエリアで、給与・休日・勤務時間・アピール内容を並べて比較します。
- 給与の下限・上限は相場と比べて見劣りしていないか
- 休日数や勤務時間は近隣と同水準か
- 競合が打ち出している特徴に対し、自院の強みは明確か
- タイトルとキャッチコピーで、違いが伝わるか
相場より給与が見劣りしている場合、原稿の書き方だけでは応募は集まりにくくなります。競合比較は「求人の良し悪しを判断する指標」として、掲載前と掲載後の見直しの両方で行うのがおすすめです。

求人票の具体的な直し方(バナー・キャッチコピー、給与幅の設計、定期的な更新運用)は、別記事クリニックの求人票アップデート法3選|応募が来ない時の見直し方で解説しています。
課題②「応募が来ても面接まで進まない」|原因は対応スピード
応募があったのに面接まで進まない場合、原因はほぼ1つに絞られます。応募者への返信の遅さです。求人原稿の質とは別の問題として、対応の仕組みを見直す必要があります。
①返信が1〜2日遅れると離脱しやすい(当社の経験則)
当社の支援先で見られる傾向として、応募者への返信が1日、2日と遅れると、その間に離脱されるケースが目立ちます。応募した瞬間が、求職者の意欲が最も高いタイミングだからです。
求人媒体側もこのスピードを重視しています。医療介護福祉の求人サイト「ジョブメドレー」を運営する株式会社メドレーは、2025年8月に提供を開始した採用管理アプリについて、初回連絡までの期間が平均1.6日から平均1日未満に短縮されたと公表しています(出典は参考文献)。応募から初回連絡までを「1日未満」に近づけることが、媒体側でも目標になっていると読み取れます。
②求職者は同時に複数のクリニックを見ている
求職者は1院だけに応募しているわけではありません。転職活動では同時に複数のクリニックを見ており、先に返信が来た院から面接が決まっていきます。
さらに、大手の医療法人グループにはバックオフィスの管理部隊がいて、採用管理画面に張り付いて対応しています。小規模クリニックは、条件面だけでなく対応スピードでも、こうした法人と競っていることになります。院長が朝から夜まで診療している以上、これは個人の努力ではなく、構造上の問題です。
③対策1:媒体のメッセージテンプレートを登録し、即返信する
構造上の問題には、仕組みで対処します。1つ目は、求人媒体のメッセージテンプレート機能に、応募直後に送る文面をあらかじめ登録しておくことです。履歴書・職務経歴書の提出依頼や、面接候補日の確認など、毎回同じ内容の連絡はテンプレートで即返信できます。
| 媒体 | 確認できた機能(公式情報) |
|---|---|
| ジョブメドレー | 採用管理画面にメッセージテンプレート機能がある。採用管理アプリ(2025年8月提供開始・追加費用なし)でメッセージの確認・送信、書類選考、面接日程の調整が完結 |
| Indeed | テンプレート名とメッセージを保存すると、次回以降同じ文面を応募者に送れる。面接日程のお知らせやリマインドメールの自動送信機能もある |
| コメディカルドットコム | サイト内チャット形式のメッセージ機能。既読・未読の表示、メールとSMSでの通知に対応 |
「自動で返信される」と思い込まず、テンプレートを「登録して、自分で即送る」運用として組み立ててください。媒体によって機能の範囲は異なるため、契約している媒体の管理画面で実際に確認することをおすすめします。
④対策2:日程調整を効率化し、1日1回は必ず返す
2つ目のネックは、面接の日程調整です。候補日時をメッセージにベタ打ちして往復するやり方は、院長にも応募者にも手間で、ここで日程が決まらないまま離脱されることがあります。
Indeedには、日付と開始・終了時刻を設定し、候補日時を複数提案して応募者に選んでもらう面接設定機能があります。ジョブメドレーの採用管理アプリでも面接日程の調整ができます。外部の日程調整ツールを使う場合も、「候補を出して、応募者が選ぶだけ」で完結する形にすると往復が減ります。
そのうえで、当社が支援先にお願いしているルールが「1日1回」です。
- 朝の診療前、または診療後に、応募者からの連絡を必ず1回確認する
- 詳しい返信ができなくても、「確認しました。改めてご連絡します」の一言だけは当日中に返す
- 履歴書依頼・面接候補日の連絡はテンプレートで即送る
- 面接日が決まったら、前日にリマインドを送る(自動送信機能があれば設定する)
簡単なメッセージでも「返ってきた」という事実が、応募者を引き止めます。テンプレート・日程調整の仕組み・1日1回ルールの3点を組み合わせれば、診療で忙しい院長でも離脱を減らせます。

課題③「入職後の離職が多い」|鍵は入社後フォローより前のスクリーニング
3つ目の課題は、採用した人材の早期離職です。多くの院長が「入社後のフォローが足りなかった」と考えますが、定着を左右するのは、それより前の「見極め」のフェーズです。
公的な統計でも、離職は入社直後に集中しています。厚生労働省が公表した新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)では、就職後3年以内の離職率は大卒で33.8%、産業別の「医療,福祉」では大卒40.8%・高卒49.2%でした。年次別に見ると、大卒の1年目離職率は12.1%と最も高く、入社1年目をどう乗り切るかが定着の分かれ目といえます。
※この統計は新卒者・「医療,福祉」産業全体の数値であり、クリニック単体の数値ではありません。なお、令和6年雇用動向調査では「医療,福祉」の年間離職率は13.8%(全産業14.2%)です。
①求める人物像(スキル・人柄)が院内で明確になっているか
スクリーニングの大前提は、「どんな人を採りたいのか」が院内で言語化されていることです。書類選考でも面接でも、基準がなければ「なんとなく良さそう」で判断することになります。
- 必要なスキル・経験(電子カルテの操作、レセプト経験、診療科の経験など)
- 人柄・働き方(患者対応の姿勢、チームでの動き方、変化への適応)
- 院長が譲れない点と、教育で補える点の切り分け
- 既存スタッフとの相性(チームのバランス)
この人物像に対して、応募者がマッチしているかを書類と面接の両方で確認します。「合わない人を採らない」ことが、最も確実な離職防止策です。
②院長の最終面接「一発」で決めるリスク
相談をいただくクリニックには、院長の面接1回で採否を決めているところが非常に多くあります。診療の合間に30分の面接を1回行い、印象で決めてしまう方法は、ミスマッチのリスクが高い選考です。
とくに医療事務は、院長が日中の業務を直接見きれていないことが多い職種です。院長の目線だけでは、現場で求められる動き方や、既存スタッフとの相性が判断できません。
③欠員補充で「マッチ度」を後回しにしない
産休や急な退職で欠員が出ると、「とにかく今すぐ人を入れないと現場が回らない」という状況になります。欠員補充が目的になった採用では、マッチ度が後回しになりがちです。
現場を回すために、まず人員を確保することはもちろん大切です。しかし、今後の組織を考えると、定着する人材かどうかの見極めを省略した採用は、数か月後に同じ欠員を生みます。「とりあえず採用」と「定着を見据えた採用」のどちらの局面かを、院長が意識して切り分けることが必要です。
応募者対応や面接の設計まで手が回らず、採用と離職の負のループから抜け出せないとお悩みなら、事務長代行「レンタル事務長さん」にご相談ください。求人原稿の見直しから応募者対応の仕組み化、面接の同席まで、院長の右腕として伴走します。
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ミスマッチを減らす面接の工夫|院長以外の目線と「素直さ」
スクリーニングの精度を上げるために、当社が支援先におすすめしている面接の工夫を2つ紹介します。
①既存の医療事務スタッフを面接に同席させる
院長が業務を見きれていない職種、とくに医療事務の採用では、既に働いている医療事務スタッフに面接へ同席してもらい、院長以外の目線を入れる方法が有効です。現場のスタッフは、日々の業務で必要な動きや、チームに馴染めそうかを、院長よりも具体的に判断できます。
- 院長:診療方針との相性、人柄、条件面の最終判断
- 既存スタッフ:業務理解の深さ、現場での動き方、チームとの相性
- 候補者:一緒に働くメンバーの雰囲気、職場の実態
候補者側にとっても、一緒に働くメンバーがどんな人かを面接の場で見られることは、入職後のギャップを減らします。双方のマッチ具合を測る場として、面接を設計し直してみてください。
なお、面接での見極めは、あくまで能力・適性にもとづいて行います。厚生労働省は採用選考について、年齢・性別・障害などを理由とした差別的な取扱いを禁止し、基本的人権を尊重した公正な採用選考を求めています。人柄の確認は、仕事への姿勢や職場での協働に関する質問に限定しましょう。
②長く続く人の資質は「素直さ」|DX・AI化への適応力
「どんな人柄の人が長く続くのか」という質問を院長からよくいただきます。もちろん、クリニックが求める人物像や院長の考え方によって答えは変わりますが、当社の経験上、共通して挙がる資質は「素直さ」です。
医療業界、とくにクリニックでは、電子カルテやWeb予約、自動精算機などのDX化・AI化が進み、業務のやり方が目まぐるしく変わります。新しいやり方を素直に受け入れて適応できる人は、変化の多い環境でも長く働ける可能性が高くなります。
- 求める人物像(スキル・人柄)を院内で言語化してから募集する
- 院長の一発面接ではなく、既存スタッフの同席で「現場の目線」を入れる
- 面接は候補者が職場を見る場でもある。双方のマッチ度を確認する
- 見極めは能力・適性本位で。「素直さ」=変化への適応力を確認する
入社後にクリニックができること|3ヶ月までと3ヶ月以降の2フェーズ
スクリーニングを丁寧に行っても、入職後に何が起きるかは分かりません。現場に入ってからのストレス耐性や人間関係で、定着の要因は変わります。入社後にクリニックができることは、フェーズによって異なります。
当社の支援先で見られる傾向として、入社から3ヶ月目までと、3ヶ月以降から1年までで、必要なサポートが変わります。※「3ヶ月」「1年」の区切りは公的統計にもとづくものではなく、当社の支援での目安です。
| フェーズ | 期間の目安(当社) | 新人の状態 | クリニックがすべきこと |
|---|---|---|---|
| フェーズ1 | 入社〜3ヶ月目 | 右も左も分からない | 業務を身近で教えてくれる人を決める。業務マニュアルを整備する |
| フェーズ2 | 3ヶ月後〜1年 | 慣れて職場に馴染み始める | 気持ちの落ち込みがないかを定点観測する。月1回(難しければ2〜3ヶ月に1回)の定期面談 |
①フェーズ1(入社〜3ヶ月目):身近に教えてくれる人と業務マニュアル
新しく入るスタッフは、右も左も分からない状態です。この時期に必要なのは、業務を身近で教えてくれる人がいること、そして業務マニュアルが整備されていることの2点です。
- 教育担当(先輩スタッフ)を1人決め、質問できる相手を明確にする
- 受付・会計・電話対応など、繰り返す業務はマニュアルにしておく
- 「見て覚えて」ではなく、初週・初月にできるようになることを決めておく
教える人が決まっておらず、マニュアルもない状態では、新人は「放置された」と感じて早期離職につながります。
②フェーズ2(3ヶ月後〜1年):定期面談で気持ちの落ち込みを定点観測する
3ヶ月を過ぎると業務には慣れてきますが、今度は人間関係や仕事の進め方への不満が表面化しやすくなります。この時期は、「今どんな気持ちで働いているか」「落ち込んでいないか」を定期的に観測することが必要です。
具体的には、月1回、難しければ2〜3ヶ月に1回の定期面談で、メンタル面と業務面の両方を把握します。前述の統計でも入社1年目の離職率が最も高いことから、少なくとも入社1年までは面談を続けることをおすすめします。
ただ、実態として、ここまでやりきれているクリニックは非常に少ないのが現状です。院長もスタッフも多忙で、「やった方がいいと分かっているのに、面談の時間が捻出できない」という声がほとんどです。面談の実施を院長一人で抱えず、事務長や外部の担当者に運用を任せるのも1つの方法です。
離職の引き金になりやすい「現場の人間関係」への向き合い方
定期面談を続けると、スタッフから相談が上がってくるようになります。当社が支援先のスタッフ面談を担当するなかで、最も多い相談内容は「現場の人間関係」です。
①長く働くスタッフとの関係トラブルと、組織の新陳代謝
典型的なのは、クリニックに1人いる、長く働いているベテランスタッフとの関係です。院内の中心人物として貢献してきた方であるほど、新しいスタッフが萎縮したり、意見を言いにくくなったりすることがあります。
- 定期的に新しい人を入れ、組織の新陳代謝をつくる
- 業務の属人化を減らし、特定の1人に権限が集中しない体制にする
- ベテランスタッフにも面談を行い、役割と期待を言葉で伝える
- トラブルの兆候は、当事者ではなく第三者(事務長など)が聞き取る
人間関係の問題は、当事者同士や院長だけでは解決しにくいテーマです。第三者の立場で話を聞ける人を院内または院外に置くことが、解決の近道になります。
②異変・違和感に早く気づき、話を聞くこと自体が離職防止になる
定期面談が大切な理由は、スタッフの異変や違和感にすぐ気づけるからです。相談を受けたその場で解決策を示せなくても、話を聞いてあげること自体が、離職の防止につながります。
「誰にも言えないまま辞める」という流れを断ち切るには、定期的に話を聞く場を用意し続けることです。面談は「問題が起きてから」ではなく、「問題が起きる前から」定期的に行うものだと捉えてください。
採用の目的は「現場を回せる人が長く働くこと」|院長が担うこと・外部に任せること
ここまで3つの課題と対処法を見てきました。最後に、採用活動の目的と、院長の役割を整理します。
①3つの課題に「絶対の正解」はない
応募が来ない、面接前に離脱する、入職後に離職する。この3つには、すべてのクリニックに当てはまる絶対の正解はありません。働く人が違い、クリニックの経営状況や院長のポリシーも違うからです。
それでも、最低限打てる策と、押さえておくべき考え方は共通しています。本記事で挙げた、求人原稿の見直し、即レスの仕組み、スクリーニングと同席面接、2フェーズの入社後フォローは、その最低限にあたります。
②採用は「採ること」ではなく「定着」を目的に設計する
採用というと、求人を出して応募を集める「採用活動」だけに目が向きがちです。しかし、採用の本来の目的は、現場の運営を回せる人が採用され、その人に長く働いてもらうことです。
入口の求人原稿から、出口の定期面談までを1つの流れとして設計すると、「応募が少ない→妥協して採用→早期離職→また欠員」というループから抜け出せます。

③院長が担うこと、外部に任せること
とはいえ、これらをすべて院長が診療の合間に行うのは現実的ではありません。院長にしかできないことと、外部に任せられることを切り分けます。
| 院長が担うこと | 外部(事務長代行など)に任せられること |
|---|---|
| 求める人物像と、譲れない条件の決定 | 競合求人の調査と、求人原稿の作成・更新 |
| 面接での最終判断、診療方針との相性の確認 | 応募者への即返信、テンプレート運用、日程調整 |
| 教育担当の任命と、現場への方針共有 | 業務マニュアルの整備、教育計画の作成 |
| 面談で上がった課題への意思決定 | 定期面談の実施と記録、人間関係の第三者ヒアリング |
院長は「決めること」に集中し、運用は外部に任せる。この切り分けが、診療と採用の両立を可能にします。
診療で手一杯のなかで、求人原稿の見直しや応募者対応、スタッフ面談の運用まで手が回らないとお悩みなら、事務長代行「レンタル事務長さん」にご相談ください。採用から定着までを一気通貫で支援し、院長が診療に集中できる体制をつくります。
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クリニックの採用課題に関するよくある質問
Q.求人を出して2週間、応募が1件も来ません。まず何を見直すべきですか?
まず、求人のタイトル・キャッチコピーと給与の見せ方を確認してください。求職者が最初に目にするのはこの2点です。給与が下限だけの表示になっていれば、上限も添えて幅で示すことを検討します。
次に、周辺の競合クリニックの求人と、給与・休日・アピール内容を並べて比較します。相場より見劣りしている項目があれば、原稿の書き方だけでは応募は増えません。条件の見直しも含めて検討する必要があります。
Q.診療中は応募者に返信できません。どうすれば即レスできますか?
即レスを院長の努力で実現するのではなく、仕組みで対応します。求人媒体のメッセージテンプレート機能に、応募直後に送る文面や履歴書の依頼文を登録しておき、確認したら即送る運用にします。
そのうえで、朝の診療前か診療後に1日1回は必ず応募者への連絡を確認し、簡単な一言でも当日中に返すルールを決めてください。面接の日程調整は、候補日時を提示して応募者に選んでもらう機能やツールを使うと往復が減ります。
Q.医療事務の面接で、何を見れば定着する人か分かりますか?
院長の目線だけで判断せず、既存の医療事務スタッフに面接へ同席してもらうことをおすすめします。現場で必要な動きや、チームとの相性は、実際に働いているスタッフの方が具体的に判断できます。
人柄の面では、当社の経験上「素直さ」が長く続く人に共通する資質です。新しいやり方を受け入れて適応できるかを、仕事への姿勢に関する質問で確認してください。なお、見極めは能力・適性本位で行い、年齢・性別などを理由とした判断は法律で禁止されています。
Q.定期面談はどのくらいの頻度で、誰が行えばよいですか?
当社の支援での目安は、入社3ヶ月以降から1年までの間、月1回、難しければ2〜3ヶ月に1回です。メンタル面と業務面の両方を、短時間でも定期的に確認します。
院長が行うのが難しい場合は、事務長や外部の担当者が第三者の立場で行う方法があります。人間関係の相談は、院長には言いにくい内容も多いため、第三者が聞き取る方がスタッフの本音が出やすくなります。
Q.採用や面談を外部に任せると、院長は何をすればよいですか?
院長には「決めること」に集中していただきます。求める人物像と譲れない条件の決定、面接での最終判断、面談で上がった課題への意思決定は、院長にしかできない役割です。
一方、競合調査と求人原稿の作成、応募者への即返信、日程調整、業務マニュアルの整備、定期面談の実施と記録といった運用は、外部に任せられます。運用を切り出すことで、診療と採用の両立が現実的になります。
まとめ:採用の3つの課題は、入口と出口を同時に整えて解決する
クリニックの採用課題は、「応募が来ない」「面接前に離脱する」「入職後に離職する」の3つに整理できます。それぞれの対処法を振り返ります。
- 応募が来ない:求人原稿にクリニックの特徴と働くメリットを書く。給与は幅で見せる。競合と比較して点検する
- 面接前に離脱する:メッセージテンプレートで即返信。日程調整は候補提示型で完結。1日1回は必ず返す
- 入職後に離職する:求める人物像を明確にし、既存スタッフ同席の面接で見極める。入社後は2フェーズで教育と定期面談を行う
- 人間関係:第三者が話を聞く場を定期的に用意し、異変に早く気づく
採用の目的は「採ること」ではなく、「現場を回せる人が長く働いてくれること」です。求人原稿から定期面談までを1つの流れとして設計し、院長は「決めること」に集中する。これが、負のループから抜け出す最短の道筋です。
業界最大手の事務長代行『レンタル事務長さん』は、相談実績500院突破・継続率96%。採用と定着に悩む院長の右腕として、求人原稿の見直しから応募者対応、面接同席、定期面談の運用までを一気通貫で支援しています。まずは無料相談で、自院の採用のどこに課題があるかを整理してみませんか。
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参考文献
- 新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します(厚生労働省)
- 新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)資料PDF(厚生労働省)
- 令和6年 雇用動向調査結果の概要(厚生労働省)
- 求人申込書の書き方(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク)
- 労働者を募集する企業の皆様へ(職業安定法の改正・2018年1月1日施行)(厚生労働省)
- 固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします(厚生労働省)
- 2022(令和4)年10月1日施行 職業安定法 改正のポイント(厚生労働省)
- 採用・選考時のルール(厚生労働省)
- 株式会社メドレー プレスリリース「採用管理アプリ」提供開始(2025年8月7日)
- ジョブメドレー|医療介護福祉の採用管理サービス(事業所向け)
- 応募者とのメッセージやり取り方法(Indeed)
- 面接の設定方法 – ダッシュボード操作(Indeed)
- Indeed の面接機能(Indeed)
- メッセージ機能を上手に活用する方法は?(コメディカルドットコム)
- 参考動画: 【プロが解説】応募が少なくて悩む先生に向けてクリニックの採用の方法を全て紹介します!(レンタル事務長さん YouTube)
※本記事は2026年9月22日時点の情報をもとに作成しています。診療報酬・法令等は改定される場合がありますので、最新の情報は厚生労働省・地方厚生局等の公的機関または専門家へご確認ください。