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医院継承(承継開業)の段取り|開業前〜1年目に院長が確かめること

「譲渡の話は仲介会社と進んでいるのに、承継した後に院をどう回すのかが見えない」「承継開業して数か月、労務の手続きも施設基準も、何から手を付ければいいか分からない」。そう感じていませんか。
医院継承(承継開業)では、譲渡の後も院長の仕事が残ります。前院長のスタッフ・患者・届出・レセプトを引き継いで、院を立ち上げる仕事です。承継後の段取りを時期ごとに決めておくと、迷う場面を減らせます。
対象は、承継開業の前の医師(親子承継・第三者承継)と、承継開業して1年未満の院長です。どちらもご自分の時期の章から読めます。
この記事で分かること
- 開業前に確かめたいスタッフ・患者・設備とレセプトの3点
- 保険診療の空白を作らない届出の段取り(令和8年9月からの遡及指定)
- 承継1年目までの立て直しの順番
- 外部との役割分担と、支援先の見分け方
読んだ後は、院長がやること・院内で任せること・外部に任せることを分け、次の一手を決められます。仲介・譲渡価格・契約・税務は扱わず、院内の立ち上げに絞ります。
医院継承は譲渡より承継後の立ち上げが院長の仕事になる
医院継承(承継開業)で譲渡の手続きが進んでも不安が消えないのは、契約の後に院を回す段取りが、まだ形になっていないからです。親子承継か第三者承継かでも、先に確かめることが変わります。
①譲渡の成立と、院を回す立ち上げは別の仕事
仲介会社の仕事は、譲渡の条件をまとめて契約を結ぶところが軸です。契約の翌日から院を回す立ち上げは、院長の仕事として残ります。
承継開業では、院長が代わった日から、前院長のスタッフと患者を迎えて診療を続けます。新規開業と違い、準備の期間を置かずに院が動き始めます。
譲渡が成立しても、スタッフの雇用、患者の引き継ぎ、届出の切り替え、レセプトの継続は、院長が段取りを決めない限り進みません。
不安の正体は、この「契約の後」の仕事に手順が無いことです。やることを時期ごとに並べれば、何から動けばよいかが見えてきます。
譲渡の流れや相場は、クリニック承継について|M&Aの相場やとメリットで整理しています。
②親子承継と第三者承継で、院内の引き継ぎで変わること
親子承継では、院の事情を知ったうえで院に入ります。第三者承継では、ほぼ初対面のスタッフと患者の中に入ります。この違いによって、確かめることの重心が変わります。
| 引き継ぐもの | 親子承継で確かめること | 第三者承継で確かめること |
|---|---|---|
| スタッフ | 前院長との役割の分け方と、指示を出すのは誰か | 雇用条件・役割・仕事の進め方を一から把握する |
| 患者 | 前院長の診療方針から変える点と、その伝え方 | 院長が代わることと、方針の変化を伝える準備 |
| 事務・届出 | 前院長が自分で抱えていた事務を誰が持つか | 届出・レセプトの状況を書類で確かめる |
| 院長の出発点 | 院の事情を知っている状態から始める | スタッフ・患者との信頼づくりから始める |
親子承継で難しいのは、前院長のやり方を変える話の切り出し方です。何を変えて何を残すかを、承継の前に前院長とすり合わせておきます。
第三者承継では、思い込みを持たずに、院の実情を書類と現場の両方で確かめます。
どちらの承継でも、前院長が頭の中で回していた事務を誰が引き継ぐかを決めることが、立ち上げの出発点です。

③開業前・承継直後・1年目まで、自分の時期から読む
承継開業(継承開業)では、いまどの時期にいるかによって、先に手を付けることが変わります。この記事は次の順番で進みます。
- 開業前:スタッフ・患者・設備とレセプトの状況を確かめ、承継を伝える準備をする
- 承継の前後:保険医療機関の指定(遡及指定)と施設基準を、承継の日に保険診療が途切れない順に切り替える
- 1年目まで:労務の手続き・スタッフ・レセプトなど院内の困りごとを書き出し、立て直す順番を決める
開業前の医師も、承継して1年未満の院長も、自分の時期の章から読み始められます。開業前の方は、届出の切り替えにも早めに目を通してください。承継の日から逆算して動けます。
承継して数か月たっている院長は、いま院内で起きている困りごとを書き出すところから始めます。
開業前に院内で確かめておきたい3つの点とスタッフ・患者への伝え方
承継開業の準備で院内について確かめるのは、スタッフ、患者とカルテ、設備・ツール・レセプトの3つです。前院長の院が回っているうちに、前院長と一緒に書き出しておきます。方針が変わる点は「誰に・いつ・どう伝えるか」まで決めておくと、承継の日に院内が混乱しにくくなります。
①スタッフ:雇用条件・役割と、承継を伝える順番
医院継承でスタッフを引き継ぐとき、最初に示したいのは、一人ひとりの雇用と仕事がどう変わるか(変わらないか)です。前院長と一緒に、一人ずつ次の点を書き出します。
- 給与・勤務時間・休みと、有給休暇の残り
- 受付・レセプト・看護など、実際に担っている役割
- 前院長だけが把握している業務(発注・支払い・業者とのやり取り)
前院長に聞けば済んでいた判断を、承継後に誰が決めるのかも決めておきます。
伝える順番は、前院長から全員に同じ内容を一度に伝え、その後に新院長が一人ずつ話を聞く形にします。こうすると、うわさが先に広まりにくくなります。条件を変える予定があれば承継前に決め、理由とあわせて説明します。
スタッフが辞めていく院に共通する点は、スタッフがすぐ辞めるクリニックの特徴7つ|院長が改善すべきこと・外部に任せるべきことで院長向けに整理しています。
②患者・カルテ:引き継ぐ範囲と、診療方針の変化の伝え方
医院継承で患者を引き継ぐ準備は、カルテと、通院を続ける患者への伝え方に分けて進めます。
カルテは紙も電子も、古いものも含めてすべて引き継ぎ、まずは一旦すべて保存するのがおすすめです。処分するかどうかは、承継後に落ち着いて決めれば足ります。
予約が入っている患者や、他院へ紹介している途中の患者の扱いも、前院長と確かめておきます。
診療時間・休診日・処方の考え方など、変わる点は承継前に決めます。院内掲示・ホームページ・受付での一言で、同じ内容を伝えます。
定期的に通う患者には、前院長から紹介の一言があると、新しい院長を受け入れてもらいやすくなります。
③設備・ツール・レセプトと、前院長が届け出ている施設基準
設備とツールは、引き継ぐか入れ替えるかを決める前に、契約の名義と更新時期を確かめます。電子カルテ・レセコン(レセプトを作るシステム)・予約システムは、データの移し方まで見ておきます。医療機器のリースや保守の契約も、名義を変えられるかを確かめます。
レセプトは、担当者・返戻や査定(請求が差し戻されたり減らされたりすること)の状況・月の締めの流れを、前院長の院で実際に見ておきます。担当が一人に偏っていれば、承継後に誰が補うかも決めておきます。
前院長が届け出ている施設基準と加算は一覧にし、掲示や人員の体制がそろっているかも書き出します。この一覧が、届出の段取りを組むときの材料になります。
この章のポイント
- スタッフ一人ずつの雇用条件と、実際に担っている役割を書き出す
- カルテはすべて引き継ぎ、まずは一旦すべて保存する
- ツールの契約名義・更新時期と、届け出ている施設基準の一覧をそろえる
医院継承の届出の切り替えと、保険診療の空白を作らない段取り
医院継承の手続きは、承継日を先に決め、そこから逆算して保険医療機関の指定と施設基準の届出を並べると、保険診療を途切れさせずに進められます。院長が最初に決めるのは、承継日と、新しい開設者を個人にするか医療法人にするかです。
①保健所の手続きと保険医療機関の指定を進める順番
開設者が変わる承継では、管轄の保健所への手続きとあわせて、新しい開設者で保険医療機関の指定を受け直します。指定日を承継日にさかのぼらせる仕組みを「遡及指定」といいます。
遡及指定の対象には、開設者の変更や、個人と医療法人の間の変更などが含まれます。親子承継でも第三者承継でも、開設者が変わるなら対象です。
1. 承継日と、新しい開設者(個人か医療法人か)を決める
2. 遡及指定の申請が3つの類型のどれに当たるかを確かめる
3. 類型③(その他の場合)なら、予定届出書を出す時期を決める
4. 指定の申請と保険医の登録の様式を、あわせて地方厚生局へ出す
5. 前院長が届け出ている施設基準を、承継前に3つの扱いに仕分ける

前院長には届出の控えを出してもらい、書類は院内の担当者か外部の支援先がそろえます。誰が何をいつまでに用意するかを、承継前に前院長と決めておきます。
保健所の手続きは管轄の保健所で確かめます。類型の当てはめや書類の細部は、管轄の地方厚生局で確かめます。どちらも、承継日の目安が見えた時点で問い合わせます。
②令和8年9月からの遡及指定の取扱いと、原則3か月前の予定届出
令和8年9月1日から、遡及指定の申請は3つの類型に分かれます。自院がどの類型に当たるかで、動き出す時期が変わります。
| 類型 | 主な場面 | 院長が確かめること |
|---|---|---|
| ① | 開設者の死亡等 | 急な承継に当たるか |
| ② | 同じ都道府県内で2km以内の移転、開設者のみの変更で一定の要件を満たすもの | 自院が要件に当たるか |
| ③ | ①②に当たらない、その他の場合 | 予定届出書を出す時期 |
予定届出書が求められるのは類型③(その他の場合)です。この類型では、遡及を望む日の原則3か月前までに予定届出書を出す必要があります。
譲渡の契約が固まってから動くと間に合わないため、承継日の目安が見えた段階で類型を確かめ、予定届出書の準備に入ります。譲渡の条件交渉と届出の準備は、並行して進めます。
③施設基準を引き続き算定するために確かめること
遡及指定の後の施設基準は、3つの扱いに分かれます。前院長の届出の控えをもとに仕分けると、扱いごとに院長が次にすることが決まります。
| 施設基準の扱い | 院長が次にすること |
|---|---|
| 前の医療機関で受理されていたもの | 新しい院の体制で、要件を満たし続けるかを照らし合わせる |
| 新たに届け出るもので、実績が要らないもの | 届け出る時期を決める |
| 新たに届け出るもので、実績が要るもの | 新しい院で実績をいつまでにそろえられるか、見通しを立てる |
仕分けは院内の担当者か外部の支援先が進め、院長はその結果をもとに届出の順番と時期を決めます。常勤の医師やスタッフの体制が変わるなら、受理済みのものも照らし合わせを省かずに行います。仕分けた一覧は、承継後に誰が届出を管理するかを決める台帳にもなります。
承継日から逆算した届出の段取りを、診療と譲渡の準備の合間に院長がひとりで組むのは大きな負担です。レンタル事務長さんでは、施設基準の届出書類の作成補助と、前院長や院内との書類集めの段取りづくりを一緒に進めます。承継日が見え始めた段階で、まずは状況をお聞かせください。
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承継して1年目までに院内で確かめたいことと立て直しの順番
承継開業1年目の立て直しは、困りごとの書き出しから始めます。医院継承のトラブルを広げないために、法令に関わる労務とスタッフの退職への手当てを先に進めます。レセプトやHP・機器の見直しは、その後に続けます。
①スタッフ・労務の手続き・ツールの困りごとを書き出す
困りごとを書き出し、誰が・いつまでに・何を決めるかを並べることが、立て直しの出発点です。
- スタッフ:退職の申し出、役割の偏り、前院長のやり方との食い違い
- 労務の手続き:36協定・雇用契約書・給与計算・勤怠の記録
- ツール:予約・レセコン・勤怠などの契約名義と、紙のまま残る業務
当社が支援する中では、承継後に多くの手を打つ院長をよく見ます。古くなったHPの作り直し、機器の入れ替え、自動精算機の導入などです。手を打つほど、院内の課題も増えます。
一気にやり切るか、少しずつ進めるかは、院長とスタッフがついてこられるか次第です。何をいつ変えるかの線引きは、慎重に決めます。
労務の手続きは、顧問の専門家と確かめます。院内では書類と勤怠の記録をそろえます。整え方はクリニックで起きやすい労務トラブルとは?就業規則・勤怠の整え方にまとめています。
紙の運用をデジタルに移した承継期の例は、電子カルテ以外はほぼ紙運用からデジタルに。診療報酬底上げにも着手し、承継期の医院運営を安定化で読めます。
②レセプトと加算の引き継ぎで確かめておきたい点
承継後のレセプトでは、2つの点を確かめます。1つは、算定している加算が、新しい院として受理された施設基準と合っているかです。もう1つは、前院長の時代のレセコンの設定が残っていないかです。
レセコンの加算の設定は、受理された届出の一覧と1つずつ突き合わせます。
- レセコンで自動で付く加算と、受理された届出の一覧
- 新たに届け出た施設基準の受理の時期と、算定を始める月
- 返戻・査定の理由と、担当者が一人に偏っていないか
加算の要件を院内で見直す手順は、機能強化加算の令和8年度(2026)改定|要件と院内の見直し手順も参考にしてください。
③立て直しの優先順位と、月ごとの目安
当社が立て直しを支えた、承継して1年たたない院の例です。この院では36協定が結ばれておらず、給与計算にも誤りがありました。レセプトを見直すと、算定漏れもかなり見つかりました。
給与計算は、当社の労務スタッフが見直しました。36協定は院の社労士と連携し、院内の準備を支えました。
一般に、立て直しは、後に回したときの影響が大きいものから進めます。給与の誤りは毎月の支給で重なるため、労務の点検は後回しにしません。
退職の申し出が出たときは、まずスタッフ一人ずつと面談します。そのうえで、不安や負担の偏りを確かめます。人が辞めると、残ったスタッフに負担が寄るためです。
承継1年目は、労務の点検とスタッフの退職への手当てを、最初の1〜2か月で始めます。
事例とは別に、一般的な目安として、承継からの時期ごとの進め方を表にまとめます。
| 承継からの時期 | 主に取り組むこと | 先に進める理由 |
|---|---|---|
| 1〜2か月 | 36協定・給与計算・雇用契約書の点検、スタッフとの面談 | 法令に関わる。スタッフの不安は早く拾う |
| 2〜3か月 | レセプトと加算の突き合わせ、返戻・査定の理由の確認 | 請求の誤りは毎月の請求で続く |
| 4〜6か月 | 役割分担と勤怠の整理、HP・機器を変える順番の決定 | 院内が落ち着いてから、ついてこられる速さで進める |
| 7か月〜1年 | 月次の数字を税理士と見る流れを決め、次の改定に備える | 立て直した仕組みを続ける |

月ごとの目安は、院の状況に合わせてずらして構いません。承継から半年たっていても、労務の点検から順に始めます。
仲介会社・税理士と院内の立ち上げの役割分担と支援先を見分ける3つの基準
院長がひとりで抱えないためには、仕事を「院長が決めること」「院内で任せること」「外部に任せること」に分けます。医院継承の相談先は、承継後の支援の中身、範囲と担当、説明の公平さの3点で見分けます。
①院長がやること・院内で任せること・外部に任せること
承継開業の前後の仕事は、次の3つに分けて担当を決めます。外部に任せる仕事を頼む先ごとに分けておくと、抜けや重なりに気づけます。
| 区分 | 主な仕事 |
|---|---|
| 院長がやること | 診療方針、採用と給与の最終判断、設備やツールに投資するかの判断 |
| 院内で任せること | 受付・会計・レセプトの日々の運用、患者への案内 |
| 外部に任せること | 譲渡の手続き(仲介会社)、会計・税務(税理士)、労務の手続き(社労士がいる院では社労士)、院内の事務の立ち上げと届出書類の作成補助(事務の支援先) |
院長の手元に残すのは「決めること」だけです。書類をそろえる仕事と日々の運用は、院内と外部に渡します。
院長を中心に、仲介会社・税理士・院内のスタッフ・事務の支援先が、それぞれの持ち場でつながります。この関係を図にまとめました。

②信頼できる支援先かを見分ける3つの基準
承継開業の支援をうたう先は、次の3つで比べます。
- 承継後の支援の中身を、時期と作業で説明できるか(「継承後もサポート」という言葉だけで終わらないか)
- 支援の範囲と担当者がはっきりしているか(誰が・何を・どこまで行い、士業の業務はどの専門家と連携するか)
- 自社に有利な比べ方だけをしていないか(自社にできないことや、ほかに頼むべきことも話すか)
最初の面談では「承継後の3か月に、具体的に何をしてもらえるか」を聞いてください。答えの具体さで、3つの基準をまとめて確かめられます。
契約の前に、支援の範囲と終わる時期を書面で確かめておきます。口頭の約束だけで始めると、どこまでが支援に入るかで食い違いが起きます。
③院長がひとりで抱えないために、事務長機能を早めに置く
事務長機能とは、院長の判断を受けて、スタッフ・届出・レセプト・ツール・月次の数字の事務をひとまとめにして回す役割です。承継の直後は決めることと事務が重なるため、この役割を早く置くほど、院長は診療に時間を使えます。
置き方は、院内のスタッフを育てて任せる、事務長を雇う、外部の事務長代行を使う、の3通りです。事務長がいても手が回っていない院では、一部の領域だけを外部に任せる形も取れます。
役割の中身はクリニックの事務長の役割と仕事内容は?代行サービスと比較を、外部に任せる形はクリニックの事務長代行とは?仕事内容・費用とメリット・デメリットを解説をご覧ください。
承継の日より前に、事務長機能を誰が担うかを決めておきます。そうすれば、立ち上げの事務が院長ひとりに集まるのを防げます。
承継の前後には、決めることと書類が一度に押し寄せます。レンタル事務長さんは、相談実績500院超・継続率96%の経験をもとに、税理士と連携しながら、承継後の院内の立ち上げを院長と一緒に整理します。「何から任せればいいか分からない」段階でも、まずはご相談ください。
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医院継承に関するよくある質問
承継開業の前後で院長が迷いやすい5つの疑問に、結論から答えます。
Q.医院継承・承継開業・継承開業は何が違いますか?
指していることは同じで、違うのは見る立場だけです。どれも、前院長の診療所を引き継いで院を続けることを指します。この記事でも同じ意味で使っています。
「医院継承」は、譲る側と引き継ぐ側を合わせた全体を指す言い方です。「承継開業(継承開業)」は、引き継いで開業する医師の側から見た言い方です。
Q.承継の日から保険診療ができない期間は生じますか?
遡及指定が認められれば、承継日にさかのぼって保険医療機関の指定を受けられるため、保険診療の空白は生じません。
承継日の目安が見えたら、自院の申請の類型と予定届出の要否を確かめておきます。
Q.前院長が届け出ていた施設基準は、承継後も算定できますか?
そのまま算定できるとは限りません。受理済みのものを引き続き算定するのか、届け出直すのかを、承継前に一つずつ決めておく必要があります。
仕分けの進め方は「医院継承の届出の切り替えと、保険診療の空白を作らない段取り」の表で整理しています。院長は、新しい院の人員と照らし合わせて、続けるもの・止めるものを決める役を担います。
Q.承継して半年たってからでも、院内の立て直しは間に合いますか?
半年たっていても、立て直しは始められます。法令に関わる労務の書類と、スタッフの退職への手当てから手を付ければ、立て直しは進められます。ただし、どこまで戻せるかは院ごとに違います。
半年分の返戻・査定の記録は、直す所を絞り込む手がかりになります。記録は捨てずに残しておいてください。
Q.事務長がいない院でも、承継後の事務を外部に任せられますか?
はい、任せられます。外部の事務長機能を使えば、事務長がいない院でも、院内の事務をまとめる役を置けます。
任せられるのは、採用・人事、レセプトの点検、施設基準の届出書類の作成補助などです。院長の手元には、何をどの順で進めるかを決める仕事が残ります。
記帳・決算は、顧問の税理士の仕事です。事務長機能は税理士と連携し、税理士に渡す院内の資料(領収書・請求書・給与の記録など)をそろえる準備を支えます。
まとめ:医院継承は承継後の段取りを時期ごとに決めておく
医院継承・承継開業で院長の手元に残るのは、譲渡の後に院を立ち上げる段取りです。読み終えたら、ご自分の時期の次の一手を1枚に書き出してください。
- 開業前:承継日と新しい開設者(個人か医療法人か)を決める。遡及指定が類型③に当たるなら、原則3か月前までの予定届出から逆算する
- 承継1年未満:36協定・給与計算など法令に関わる労務と、スタッフの退職への手当てから始め、続けてレセプトと加算を見直す
- どちらも:HPや機器の入れ替えは、院長とスタッフがついてこられるかを見て、一気に進めるか少しずつ進めるかを慎重に決める
レンタル事務長さんは院長の右腕として、採用・人事、レセプト、施設基準・加算などの管理業務をチームで担います。承継の前後は、届出書類の作成補助から院内の立ち上げまで、税理士と連携して支えます(相談実績500院超・継続率96%)。
「承継日は決まったのに、院内の段取りが手付かず」「承継して数か月たっても、何から直すか決めきれない」。そう感じたら、ひとりで抱え込む前にレンタル事務長さんにご相談ください。いまの状況をうかがい、院長がやることと任せられることの線引きから一緒に整理します。
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参考文献
- 厚生労働省 保医発0605第2号(令和8年6月5日)
※本記事は2026年10月23日時点の情報をもとに作成しています。診療報酬・法令等は改定される場合がありますので、最新の情報は厚生労働省・地方厚生局等の公的機関または専門家へご確認ください。
監修:代表取締役 望月勇哉( ISAYA MOCHIZUKI )
慶應義塾大学卒業後、新卒で(株)サイバーエージェント入社。その後マーケティング支援会社で独立。
2019年より医療業界に転身し、保険診療クリニック、自費クリニックのマーケティング支援や立ち上げ/経営に携わる。
2022年に株式会社セルエージェントを創業し、医療機関の後方支援事業「レンタル事務長さん」を立ち上げ、運営管理業務の課題解決に取り組む。