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外来感染対策向上加算とは?要件・点数と関連3加算の見直しポイント

外来感染対策向上加算とは?要件・点数と関連3加算の見直しポイント

「改定のたびに届出は出していますが、取れるものを全部取れているのか、正直わかりません」

改定のたびに届出をしてきた院長ほど、こうした不安を口にされます。施設基準の通知は改定ごとに差し替わり、診療の合間に全体を見直す時間は取れないものです。

なかでも見落とされやすいのが、外来感染対策向上加算を土台にした感染対策系の加算です。要件を整えて届け出れば患者1人につき月1回、合計15点まで積み上がる一方、上乗せの3加算が止まっているクリニックは少なくありません。

この記事では、外来感染対策向上加算・発熱患者等対応加算・サーベイランス強化加算・抗菌薬適正使用体制加算・連携強化加算の点数と施設基準を、令和8年度(2026年度)診療報酬改定後の厚生労働省の一次資料にもとづいて整理します。

そのうえで、月1,000人来院の試算、届出から算定開始までのタイミング、届出事項のウェブサイト掲載義務まで順に解説します。

届出状況の見直しは、患者数を増やさなくても取り組める収益改善です。自院の届出一覧と照らし合わせてお読みください。

動画では、レンタル事務長さんの運営メンバーとクリニック支援を担当するプロ事務長が、見落としがちな感染対策系の加算4つと届出の注意点を対談形式で解説しています。本記事はその内容を、改定後の告示・通知で裏取りしたうえで文章にまとめたものです。

「届け出るだけで取れる加算」を見落としていませんか

①患者1人あたり月15点、月1,000人来院なら年間180万円の試算

外来感染対策向上加算は、患者1人につき月1回6点です。ここに連携強化加算3点、サーベイランス強化加算1点、抗菌薬適正使用体制加算5点を積み上げると、患者1人につき月1回、合計15点(1点10円換算で150円)になります。

月に1,000人の患者が来院するクリニックで、その全員が別の患者として月1回ずつ算定対象になる場合、150円×1,000人=月15万円、年間では180万円です。動画で「元も取れるはずだった加算が漏れている」と語られているのは、この規模の話です。

もちろん前提を置いた試算であり、実際の金額は患者数や受診パターンで変わります(前提は後半の章で整理します)。ただ、初診料・再診料に乗る加算であるため、届出の有無がそのまま収益差になる点は押さえておいてください。

②令和8年度改定でも点数・施設基準は据え置き

令和8年度(2026年度)診療報酬改定は2026年6月1日から適用されています。今回の改定で、この記事で扱う5つの加算の点数と施設基準の本文は、令和6年度から据え置きでした。「改定で変わったから届出し直す」種類の加算ではなく、「以前から取れたのに届け出ていない」ことが問題になる加算です。

加算名点数算定単位届出様式
外来感染対策向上加算6点患者1人につき月1回様式1の4
発熱患者等対応加算20点(更に加算)月1回独立の届出なし
連携強化加算3点月1回様式1の5
サーベイランス強化加算1点月1回様式1の5
抗菌薬適正使用体制加算5点月1回様式1の5

改定に関連して変わった点は次の3つです。

  • 令和6年度にあった「令和6年3月31日時点で届出済みの機関は令和6年12月31日まで第二種協定指定医療機関とみなす」経過措置は終了し、令和8年度の通知には経過措置の記載がありません
  • 抗菌薬適正使用体制加算の判定に使う診療所版J-SIPHEの集計仕様が令和8年度から変更されました(詳細は後述)
  • 疑義解釈(その1)で、抗菌薬の処方件数が30件以上ある場合に集計対象となることが明記されました

経過措置が終わっている以上、第二種協定指定医療機関の指定は外来感染対策向上加算の必須要件です。改定前に届け出たクリニックも、この点は改めて確認しておきましょう。

外来感染対策向上加算とは(患者1人・月1回6点)

①点数と算定単位

外来感染対策向上加算は、初診料の注11、再診料の注15に規定された加算で、月1回に限り6点を所定点数に加算します。厚生労働省の留意事項通知では「患者1人につき月1回に限り加算することができる」とされており、同じ患者が同月に2回受診しても2回目は算定できません。

診療科の限定はありません。内科でも整形外科でも皮膚科でも、初診料・再診料を算定する外来患者であれば対象になります。動画でも「診療科に関係なく患者1人につき月1回6点」と説明されているとおりです。

②対象となる医療機関は診療所のみ

告示では「保険医療機関(診療所に限る。)」と明記されています。つまり外来感染対策向上加算は診療所専用の加算です。病院には別に感染対策向上加算(1〜3)があり、外来感染対策向上加算の施設基準には「感染対策向上加算の届出を行っていないこと」という要件も含まれています。

クリニックの院長にとっては、自院が診療所である時点で対象になり得る、という理解で問題ありません。

③初診料・再診料以外の加算先

同名の加算は初診料・再診料のほか、医学管理等(通則3)、在宅医療(通則5)、精神科訪問看護・指導料にも設けられています。ただし、同一月に他の項目で外来感染対策向上加算を算定済みの場合、再診料側では算定できません。

レセプト上は、「この患者に今月すでに算定しているか」を確認する運用が必要です。レセコンの自動算定設定が正しく組まれているかも、届出と合わせて確認しておきたいポイントです。

外来感染対策向上加算の施設基準|主な要件

動画では「特殊な施設基準ではないが、都道府県との協定がひとつのハードル」と説明されています。実際の通知では(1)から(18)までの要件が並びますが、要件を整えれば多くの診療所で届出可能な内容です。主なものを3つに分けて見ていきましょう。

①院内体制|感染防止対策部門・院内感染管理者・手順書

まず院内の体制です。感染防止対策部門を設置し(医療安全管理部門との兼用は可)、院内感染管理者として専任の医師・看護師・薬剤師その他の医療有資格者を配置します。医師である院長がこの管理者になることは要件上問題ありません。ただし、医療安全対策加算の医療安全管理者との兼任はできません(診療所では通常関係しない要件です)。

  • 感染防止対策部門の設置(医療安全管理部門と兼用可)
  • 院内感染管理者の配置(専任の医療有資格者。院長でも可)
  • 感染防止対策の業務指針と、管理者の具体的な業務内容の整備
  • 標準予防策・経路別予防策・洗浄消毒滅菌・抗菌薬適正使用等を盛り込んだ手順書の作成と配布
  • 院内巡回 週1回程度
  • 職員を対象にした研修 年2回程度

研修については、疑義解釈で院外研修への参加では要件を満たさないとされています。院内で職員向けに実施した記録を残すことが必要です。

②カンファレンス・訓練・連携先からの助言

次に、地域との連携に関する要件です。動画で「カンファレンスはオンライン開催がほとんどで負担は小さい」と説明されている部分にあたります。

  • 感染対策向上加算1の医療機関、又は地域の医師会が主催するカンファレンスに年2回程度参加(複数の医療機関と連携する場合は各1回・計2回以上)
  • カンファレンスはビデオ通話が可能な機器を用いた参加でも可。ただし書面の持ち回りは不可
  • 新興感染症の発生等を想定した訓練に年1回以上参加
  • 抗菌薬の適正使用について、連携する加算1の医療機関または地域の医師会から助言を受ける
  • 新興感染症発生時の地域連携について、加算1の医療機関と事前に協議

通知上、カンファレンス参加は「年2回程度」の要件として定められています。動画の説明どおりオンライン参加が認められているため、時間的な負担は限定的ですが、「参加していること」自体は必要です。参加記録を残す運用も合わせて整えましょう。

③第二種協定指定医療機関の指定と発熱患者の受け入れ公表

最後が、動画で「ひとつのハードル」と言われている協定です。通知の(13)では、感染症法第38条第2項に規定する第二種協定指定医療機関(発熱外来に係る措置を講ずるものに限る)であることが要件とされています。都道府県と協定を結び、指定を受ける手続きが必要です。

あわせて、受診歴の有無にかかわらず発熱患者等を受け入れる旨を公表し、発熱患者の動線を分ける(空間的・時間的分離)体制を整えます。院内には、感染防止対策の基本的な考え方、組織体制と業務内容、抗菌薬適正使用の方策、他の医療機関との連携体制といった取組事項を掲示します。

要件区分内容頻度・条件
院内感染管理者専任の医師・看護師・薬剤師等医療安全管理者との兼任不可
研修職員対象・院内で実施年2回程度
カンファレンス加算1医療機関または医師会主催年2回程度・ビデオ通話可
訓練新興感染症発生等を想定年1回以上
院内巡回感染対策の巡回週1回程度
協定第二種協定指定医療機関(発熱外来の措置を含む)必須・経過措置なし
発熱患者受入れを公表・空間的時間的分離常時
院内掲示取組事項を掲示常時

なお、外来感染対策向上加算は「当該加算の届出については実績を要しない」と通知に明記されています。一般の施設基準では届出前1か月の実績が求められますが、この加算は体制が整った時点で届出できます。届出様式は別添7の様式1の4です。

外来感染対策向上加算の主な施設基準
  • 外来感染対策向上加算は診療所限定・患者1人につき月1回6点
  • 院長が院内感染管理者を務めることは要件上可能
  • 研修・カンファレンスは年2回程度、訓練は年1回以上、巡回は週1回程度
  • 第二種協定指定医療機関の指定は必須(経過措置は終了済み)
  • 実績要件はなく、体制を整えれば届出できる

発熱患者等対応加算(20点)|感染症を疑う患者への上乗せ

①算定要件|外来感染対策向上加算に「更に」20点

外来感染対策向上加算を算定している診療所が、感染症を疑う症状の患者を適切な感染対策の下で診療した場合、発熱患者等対応加算として月1回に限り20点を更に加算できます。告示の初診料 注11・再診料 注15のただし書に規定されており、初診でも再診でも同額の20点です。

対象となる症状は、留意事項通知で「発熱、呼吸器症状、発しん、消化器症状又は神経症状その他感染症を疑わせるような症状」とされています。動画で例に挙がっている咳・腹痛・下痢は、呼吸器症状・消化器症状にあたります。

算定にあたっては、空間的・時間的分離を含む適切な感染対策の下で診療していることが条件です。発熱患者の受入れ体制は外来感染対策向上加算の施設基準(12)で担保されているため、発熱患者等対応加算に独立した届出はありません。

②同月に再受診した場合の扱いと算定の実務

同じ月にすでに外来感染対策向上加算を算定した患者が、後日発熱で再受診したケースはどうなるでしょうか。令和6年度の疑義解釈(その1)問4では、外来感染対策向上加算は月1回のため2回目は算定できないが、発熱患者等対応加算は算定できるとされています。

発熱患者等対応加算は令和6年度改定で新設された加算で、令和8年度改定でも20点のまま据え置かれました。動画でも「シーズンによって件数が上がるので、1人20点は相当大きい」と説明されているとおり、流行期には算定件数が大きく増える加算です。仮に月300人が対象になれば、200円×300人=月6万円の上乗せになります。

  • 発熱患者等対応加算は外来感染対策向上加算6点に「更に」20点
  • 初診・再診とも同額、月1回まで
  • 同月に外来感染対策向上加算を算定済みでも、発熱受診なら20点は算定可
  • 独立した届出は不要(外来感染対策向上加算の届出で対応)

届出の有無を確認したい、施設基準の要件を自院で満たせるか判断がつかない。そうしたお悩みがあれば、クリニック専門の事務長代行「レンタル事務長さん」にご相談ください。届出状況の棚卸しから、取れる加算の洗い出し、申請書類の作成まで代行します。

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サーベイランス強化加算と抗菌薬適正使用体制加算|J-SIPHE参加で取れる2加算

ここからは、外来感染対策向上加算の届出を前提に上乗せできる3つの加算のうち、サーベイランスへの参加とデータ登録で取れる2つを解説します。いずれも届出様式は別添7の様式1の5です。

①サーベイランス強化加算(1点)の要件

サーベイランス強化加算は月1回1点です。施設基準は、外来感染対策向上加算の届出に加えて、「院内感染対策サーベイランス(JANIS)、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)等、地域や全国のサーベイランスに参加していること」の2点だけです。

点数は小さいものの、次に説明する抗菌薬適正使用体制加算のデータ登録と重なります。参加していれば届出できる加算なので、抗菌薬適正使用体制加算とセットで届出を検討するのが合理的です。

②登録先|診療所版J-SIPHE(OASCIS)とJANIS

動画で「診療所版J-SIPHE」と紹介されているのは、AMR臨床リファレンスセンターが運営する診療所向けのプラットフォーム「OASCIS」です。

  • J-SIPHE(感染対策連携共通プラットフォーム):病院を中心とした全国的なプラットフォーム
  • 診療所版J-SIPHE(OASCIS):診療所向け。抗菌薬の使用状況の集計・証明書発行機能あり
  • JANIS(院内感染対策サーベイランス):診療所も検査部門への参加が可能

なお、サーベイランス強化加算の施設基準に、登録期間の要件はありません。「6か月」というデータ期間が関係するのは、次に説明する抗菌薬適正使用体制加算の判定データの範囲です。混同しやすいので分けて理解してください。

③抗菌薬適正使用体制加算(5点)の要件

抗菌薬適正使用体制加算は月1回5点で、診療科の限定はありません。施設基準は次の3つです。

  • 外来感染対策向上加算の届出を行っていること
  • 抗菌薬の使用状況のモニタリングが可能なサーベイランスに参加していること
  • 直近6か月における使用する抗菌薬のうち、Access抗菌薬に分類されるものの使用比率が60%以上、又は当該サーベイランスに参加する診療所全体の上位30%以内であること

どの抗菌薬がAccess抗菌薬に分類されるかは、診療所版J-SIPHEの集計仕様にもとづいて判定されます。処方の中身そのものが要件になっている点が、他の加算と異なるところです。

④証明書と「直近6か月」の考え方

要件を満たしているかどうかは、診療所版J-SIPHEに四半期ごとにデータを提出すると、Access抗菌薬の比率とパーセンタイル順位が返却され、その証明書を添付して届出する流れで確認します。令和8年度の疑義解釈(その1)問1では、対象期間の抗菌薬処方件数が30件以上ある場合に集計対象となると示されています。

動画で触れられている「6か月」は、正確には直近6か月分の抗菌薬使用データが証明書の集計対象になるという意味です。登録してから待つ期間ではなく、判定に使う6か月分のレセプトデータが登録されている必要がある、と理解してください。

⑤令和8年度の集計スケジュールと仕様変更

令和8年度の証明書発行は年4回です。OASCIS事務局の案内によれば、対象となるのは各回の直近6か月分で、対象期間のレセプト(UKEファイル)がすべて登録済みであること、抗菌薬の処方件数の合計が30件を超えることが集計の条件です。

データ提出締切対象期間証明書返却
第1回4月30日直近6か月分翌月中旬
第2回7月31日直近6か月分翌月中旬
第3回10月31日直近6か月分翌月中旬
第4回翌年1月31日直近6か月分翌月中旬

令和8年度からは集計仕様も変わっています。リファキシミンが集計から除外され、テトラサイクリン系・ST合剤・マクロライド系・キノロン系の経口薬で14日以上の処方は14日分に換算されるようになりました。新仕様が証明書に反映されるのは令和8年度第3回からです。前年度に「上位30%以内」で届出した診療所でも、次回の証明書で順位が変わる可能性があります。

抗菌薬適正使用体制加算の届出手順

連携強化加算(3点)|感染対策向上加算1の病院と連携

①要件|連携先への報告は「過去1年間に4回以上」

連携強化加算は月1回3点です。施設基準は、外来感染対策向上加算の届出に加えて、連携する感染対策向上加算1の届出医療機関に対し、過去1年間に4回以上、感染症の発生状況、抗菌薬の使用状況等について報告を行っていることの2点です。

動画では「概ね3か月に1回」と説明されていますが、通知の条文は「過去1年間に4回以上」です。四半期ごとに報告すれば結果として3か月に1回のペースになるため、実務上の目安としては動画の説明と一致します。ただし、届出書に書くのは「年4回以上の報告実績」である点を押さえておいてください。

②報告の実務|形式・頻度は連携先とすり合わせる

報告の内容は「感染症の発生状況、抗菌薬の使用状況等」とされていますが、報告の書式や送付方法までは通知で定められていません。動画でも「報告の形態を連携先とすり合わせる必要がある」と説明されているとおり、連携先の病院がどの形式で受け取っているかを事前に確認することが実務上のポイントです。

  • 連携先:感染対策向上加算1を届け出ている病院(カンファレンスの主催元と重なることが多い)
  • 報告内容:感染症の発生状況、抗菌薬の使用状況等
  • 頻度:過去1年間に4回以上(四半期ごとの報告で満たせる)
  • 届出様式:別添7の様式1の5

すでにカンファレンスに参加している連携先がある診療所なら、報告の仕組みを追加するだけで届け出られる加算です。連携強化加算が未届出であれば、まず連携先に報告方法を相談してみてください。

4加算で患者1人あたり月15点|月1,000人来院の試算

①試算表|外来感染対策向上加算のみ/4加算すべて届出

ここまでの4加算を積み上げると、患者1人につき月1回、合計15点=150円です。発熱患者等対応加算の20点は対象患者が限られるため、この合計には含めていません。

加算点数患者1人・月あたり月1,000人の月額年額
外来感染対策向上加算6点60円60,000円720,000円
連携強化加算3点30円30,000円360,000円
サーベイランス強化加算1点10円10,000円120,000円
抗菌薬適正使用体制加算5点50円50,000円600,000円
合計15点150円150,000円1,800,000円

外来感染対策向上加算だけを届け出ている場合と比べると、上乗せ3加算の差は月1,000人で月9万円、年間108万円です。動画の「月15万円・年間180万円」は、この表の合計行にあたります。

②試算の前提と、発熱患者等対応加算の上乗せ

この試算は次の4つを前提にしています。前提が変われば金額も変わるため、自院の患者数と受診パターンに置き換えて計算してください。

  • 4加算すべてを届出済みであること
  • 月1,000人がそれぞれ別の患者で、各人が月1回以上受診していること(同一患者の同月2回目は算定しない)
  • 初診料・再診料等を算定する外来患者であること
  • 1点10円換算、令和8年度改定後の点数(据え置き)であること

発熱患者等対応加算は、感染症を疑う症状の患者にのみ月1回20点(200円)です。仮に月300人が対象であれば月6万円、月100人なら月2万円と、流行期と閑散期で大きく変動する加算です。年間の見込みは、過去のレセプトから該当症状での受診件数を月別に拾って当てはめるのが確実です。

「年間180万円損している」と断定できるわけではありません。ただ、試算で年間100万円単位の差が出る加算を届出漏れで取りこぼしているクリニックがあるというのが、動画で支援現場から語られている実感です。

月1,000人来院クリニックの試算

届出の手順と算定開始タイミング、ウェブサイト掲載義務

①届出先と様式|地方厚生(支)局へ別添7を提出

施設基準の届出は、所在地を管轄する地方厚生(支)局長に届出書(別添7の様式)を1通提出し、写しを手元に保管します。外来感染対策向上加算は様式1の4、連携強化加算・サーベイランス強化加算・抗菌薬適正使用体制加算は様式1の5です。

項目内容
届出先所在地の地方厚生(支)局長
様式外来感染対策向上加算:様式1の4/上乗せ3加算:様式1の5
提出部数1通(写しを保管)
審査期間原則2週間以内、遅くとも概ね1か月以内
実績要件外来感染対策向上加算は実績不要(一般原則は届出前1か月)
算定開始月末までに受理→翌月1日から

抗菌薬適正使用体制加算は診療所版J-SIPHEの証明書を添付します。証明書の返却は締切の翌月中旬なので、届出時期は逆算して決める必要があります。

②算定開始は「受理した月の翌月1日」から

通知では、各月の末日までに要件審査を終え、届出を受理した場合は翌月の1日から算定できるとされています。月の最初の開庁日に届出を受理した場合には、その月の1日から算定できます。

つまり、届出が月をまたぐと、算定開始が丸1か月遅れることになります。上乗せ3加算で月1,000人なら、1か月の遅れは9万円の差です。要件が整った時点で速やかに届け出ましょう。

改定時の駆け込みで届出したクリニックは、そのとき上乗せ3加算まで出したかどうかを改めて確認してみてください。

③届出事項のウェブサイト掲載義務|療担規則にもとづく共通ルール

動画で「加算のホームページ掲載が義務化され、掲載していないクリニックが多い」と指摘されている点は、正確には保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)第2条の6第2項にもとづくルールです。書面掲示が求められている事項について、原則としてウェブサイトにも掲載しなければならないと定められ、2024年6月1日に施行されました。経過措置は2025年5月31日で終了しています。

  • 根拠:療担規則 第2条の6 第2項(2024年6月1日施行、経過措置は2025年5月31日まで)
  • 掲載対象:地方厚生局長等に届け出た事項(届出済みの施設基準)を含む書面掲示事項
  • 除外:自ら管理するホームページ等を有しない場合

ここで注意したいのは、外来感染対策向上加算の施設基準の条文自体に「ウェブサイト掲載」の文言はないことです。加算の条文が求めているのは院内「掲示」と発熱患者受入れの「公表」であり、ウェブ掲載は保険医療機関に共通する横断的な義務として掛かっています。

したがって、ウェブ掲載が漏れていても加算の施設基準そのものを満たさなくなるわけではありませんが、療担規則上の義務違反にはなり得るという整理です。届出済みの施設基準の一覧は、院内掲示とホームページの両方で最新の状態に保ちましょう。

届出の取りこぼしと見直しのポイント
  • 届出は地方厚生(支)局へ別添7を1通提出、審査は原則2週間以内
  • 月末までに受理されれば翌月1日から算定。月をまたぐと1か月遅れる
  • 届出事項のウェブ掲載は療担規則の義務(2024年6月1日施行)。加算の条文とは別
  • 院内掲示とホームページの届出一覧を同時に更新する運用にする

「改定時に届出は出したが、上乗せ3加算まで確認できていない」「ホームページの施設基準一覧を更新した記憶がない」。こうした状態でお悩みなら、クリニック専門の事務長代行「レンタル事務長さん」にご相談ください。現在の届出状況の確認から、取れる加算の洗い出し、連携先とのすり合わせ、申請書類の作成まで、院長の手を止めずに進めます。

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外来感染対策向上加算に関するよくある質問

外来感染対策向上加算と関連加算について、院長からいただくことの多い質問に回答します。

Q.外来感染対策向上加算は病院でも算定できますか?

できません。告示で「保険医療機関(診療所に限る。)」と規定されており、診療所専用の加算です。病院には感染対策向上加算1〜3が別に設けられています。

施設基準には「感染対策向上加算の届出を行っていないこと」も含まれますが、診療所であればこの点は問題になりません。

Q.院長が院内感染管理者を兼ねてもよいですか?

問題ありません。通知では院内感染管理者を「専任の医師、看護師又は薬剤師その他の医療有資格者」としており、医師である院長は該当します。

ただし、医療安全対策加算の医療安全管理者との兼任はできません。診療所では通常影響しませんが、念のため確認しておいてください。

Q.カンファレンスはオンライン参加でもよいですか?

可能です。通知ではビデオ通話が可能な機器を用いた参加も認められています。一方で、疑義解釈では書面の持ち回りによる開催は認められていません。

年2回程度の参加が要件です。参加日時と主催元(感染対策向上加算1の医療機関または地域の医師会)を記録に残しておきましょう。

Q.サーベイランス強化加算は、登録してから6か月待つ必要がありますか?

ありません。サーベイランス強化加算の施設基準は「地域や全国のサーベイランスに参加していること」だけで、期間の要件はありません。

6か月という期間が関係するのは抗菌薬適正使用体制加算です。こちらは直近6か月分の抗菌薬使用データでAccess抗菌薬の比率を判定し、その証明書を添付して届け出ます。

Q.ホームページを持っていない場合、ウェブサイト掲載の義務はどうなりますか?

療担規則第2条の6第2項では、自ら管理するホームページ等を有しない場合は除くとされています。ホームページがなければ、院内の書面掲示のみで足ります。

ホームページがある場合は、届出済みの施設基準を含む書面掲示事項を原則としてウェブサイトにも掲載する必要があります。経過措置は2025年5月31日で終了しています。

まとめ:施設基準の見直しは「届出状況の棚卸し」から

この記事で扱った加算を整理します。

  • 外来感染対策向上加算:診療所限定・患者1人につき月1回6点。第二種協定指定医療機関の指定などが要件
  • 発熱患者等対応加算:感染症を疑う症状の患者に月1回20点を更に加算。独立の届出なし
  • サーベイランス強化加算:JANIS・J-SIPHE等への参加で月1回1点。期間要件なし
  • 抗菌薬適正使用体制加算:直近6か月のAccess抗菌薬比率60%以上または上位30%以内で月1回5点。証明書を添付
  • 連携強化加算:感染対策向上加算1の病院へ年4回以上報告で月1回3点

4加算を合計すると患者1人につき月15点。月1,000人来院・全員が別患者で月1回算定という前提なら、月15万円・年間180万円の差になります。令和8年度改定でも点数・施設基準は据え置かれているため、「改定で変わった」ではなく「以前から取れたのに届け出ていない」が問題になる加算です。

見直しにあたっては、院長が担うことと外部に任せられることを分けると進めやすくなります。

院長が担うこと外部(事務長代行)に任せられること
院内感染管理者としての方針決定現在の届出一覧と施設基準の突合
都道府県との協定(第二種協定指定)の意思決定上乗せ3加算の要件チェックと届出書類の作成
抗菌薬の処方方針(Access抗菌薬の選択)診療所版J-SIPHEへのデータ登録・証明書取得の段取り
カンファレンス・訓練への参加連携先病院との報告形式のすり合わせ
最終的な届出内容の確認と押印院内掲示とホームページの届出一覧の更新

要件の判断と診療方針は院長にしかできませんが、通知との突合・書類作成・スケジュール管理は外部で巻き取れる業務です。業界最大手の事務長代行『レンタル事務長さん』は、相談実績500院突破・継続率96%。施設基準の届出見直しも、支援項目のひとつとして日常的に扱っています。

「出そうと思っていた加算がある」「自院で何を届け出ているか把握できていない」という院長は、まず現在の届出状況をお聞かせください。無料相談で、取れる可能性のある加算と必要な手順を整理してお伝えします。

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参考文献

※本記事は2026年9月22日時点の情報をもとに作成しています。診療報酬・法令等は改定される場合がありますので、最新の情報は厚生労働省・地方厚生局等の公的機関または専門家へご確認ください。

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